学園パロ<book>

□熱い夢がぼくらの魔法だぜ! 
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「あれ?レビィじゃないか!」



外へ出た途端に、ひとりの男子生徒が声を掛けてくる。

“ジェット!”とレビィが名を呼び捨てにするからには、同じ学年なのだろうが――…。



「こんな所で珍しいな。どうし…。あぁ、ルーシィの案内か」

「そうなの。部活動の紹介を、ね!」



うんうん、なるほど!と頷きあうレビィとジェット(と呼ばれた人)。

…というか。何故私の名前を知っている?



「ルーシィ。そんな顔しなくても大丈夫だから〜」

「えっ。そんな顔って何」

「全面に“コイツ誰。何で私の名前を!”って書いてあるよー」



まさか…!と思いながらも、思わず両手で頬を隠す。

そんなルーシィを見ながら、ジェットは“仕方ないさ”と肩を竦めて笑った。



「今日来たばかりで、クラスメイト全員の顔を覚えろって方が無理だから」



“気にするな”とぱたぱた手を振るジェットに、“ごめんっ”と手を合わせる。

確かに、沢山いるクラスメイトの顔を1日で全員覚えるのは無理がある話なのだが。

それでも、不審そうな表情を浮かべてしまった自分の方に非がある。



「ごめんね。もう覚えたから大丈夫!ジェット…でいいのよね?」

「あぁ、合ってるよ。よろしくな、ルーシィ」

「こちらこそ、よろしく!」



にっこりと笑い、手を差し出そうとしたが、…やんわりと辞退され。

やはり少し怒っているのだろうかと様子を窺えば、“違う違う”とジェットが笑う。

そして、パッと両手をパーにして広げて見せて…。



「こんな土で汚れた手じゃ、さすがに握手は…ね」



“だから、残念だけど止めとくよ”、と広げた手をそのまま合掌するジェット。

そんな明るくひょうきん(?)な彼は悪い人じゃなさそうだ。とルーシィの脳内メモに記録が残った。



ルーシィの才能。―…それは、実はコンピュータを凌ぐとも言われる記憶力。

IQ200 overをたたき出すその脳は、すでに秘密裡にどこぞの政府からお声が掛かってるとも噂される程。

(そのせいで、“普通”の学園生活を送らせてもらえなかったのだが)



瞬時に記憶し、更に一度覚えたら絶対に忘れないルーシィ。

その能力は、学園内では担任すら知らない、極秘事項とされていた。



「で。ジェットはもしかして…陸上部?」



改めてジェットのいでたちを眺め、ルーシィが問う。

ジェットが着ているのは、ノースリーブのシャツに短パン。

そのシャツには、フェアリーテイル学園の校章である“横向きの妖精”のマーク。



「そう。短距離走やってるんだ」

「ジェットはすっごく足が速いんだよ〜」

「…まぁ、それなりにな」

「全国1位なんだよ!」



“へぇ、それは凄いね!”…と相槌を打ちながら、更に脳内に記録が残る。

ルーシィとて運動は苦手ではなかったが、さすがに全国1位となると敵わない。



「部活中、お邪魔して悪いんだけど。ちょっと、見学しててもいいかな」

そう訊ねたルーシィへ、ジェットは“もちろん!喜んで”と笑う。



「じゃ、陸上部へレッツゴー!」

「はいはい。相変わらず元気だな。レビィは」

「相変わらずは余計ですー」



そんな笑いの絶えない会話を交わしつつ、3人は陸上部が活動するトラックへと向かったのだった。

********************

2011.02.10

ジェットは足が速いので、って言ったらやっぱり陸上部。

そういや、何人クラスか考えてなかったな。


song:悪魔くん

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