学園パロ<book>

□ミラクルロマンス
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「予想してたけど、それ以上にすごい蔵書量ね〜…」



首が痛くなりそうな程上を見上げ、遥か高くまで伸びる書棚へと視線を向ける。

所せましと並べられた本は、背表紙を見るだけでも一苦労しそうな程。

フェアリーテイル学園ならばそれなりに揃っているであろうとは思っていたのだが…まさか、これ程までとは。



「ここの蔵書量はすごいからね〜」

“探すのもひと苦労だよ?”なんて笑顔で笑っているが、正直、シャレにならない量だと思う。

まぁ、逆にそれがルーシィの胸をわくわくと躍らせているのだが。



「あら、来てたのね。レビィちゃん」

「先生!こんにちは!」

「今日も本を借りに来たの?貴女は本当に読書家ねぇ」



やや両足を内股に、シャナリシャナリと歩くその人物。

(背中に生えているのは羽?いやまさかオモチャだよね?)

誰だろう?とその胸についた名札――教員は全員付けている――をこっそり覗き見れば。



「私の名前はボブ。司書をやってるわ」



先に視線に気付かれ、にっこりと握手を求められてしまった。

こっそり見ていた後ろめたさからか、やや手を出すのを躊躇ったものの。

ルーシィは自分のスカートで2度3度と手の平を拭いて、スッとボブへと差し出した。



「あ、えっと。よろしくお願いします…」



きゅっと握られた手は大きく、明らかに男の手。

でも、正面でにっこり笑う顔は…いや、顔は男なのだが…なぜフルメイク?



「こちらこそ、よろしくね。ルーシィちゃん」

「ちゃん!?…って、あれ?どうして名前…」



名乗ってないのに、とボブへ視線で問いかければ。



「転入生なんて珍しいから、一発で分かるわよぉ」



ウィンクと、おまけに大サービスと投げキッスのプレゼント付きで返事が来て。

あはははは…とルーシィは乾いた笑いを返した。



ボブと言ったか、司書の先生だというのはいいのだけれど。

明らかに“オトコ”なのに、なぜ服に言葉にメイクまで女なのだろう?

(顔は明らかにむさいオッサンなのに!)



「ルーシィ、ボブ先生はアヤシイ人じゃないから大丈夫」



こそっとレビィに耳打ちされて、あはは、と力なく笑顔を浮かべる。

二日酔い体育教師の担任といい、女らしい(!?)司書の先生といい。

(途中の授業でも無精髭の化学教師とか出てきたが…)

ここフェアリーテイル学園の先生方はみな、かなりの個性派揃いのようだ。



訳の分からない人達もいるみたいだけど。

想像していた“ありきたりの学園生活”に比べたら雲泥の差。

親から強制的に放り込まれたフェアリーテイル学園だったが、どうやら来て大正解だったらしい。



―…楽しい学園生活になりそうね!



わくわくと躍り始めた胸を抱え、大好きな本を探し出すべく。

逸る心を抑えながら、タッと本の山の中へと駆け出した。

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2011.02.09

高校の頃、図書室に入り浸っていたなぁ。

部活のノルマクリアしたからと部活行かずに図書室いたから、顧問にまで部員じゃないと思われていた。←


song:ムーンライト伝説

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