学園パロ<book>

□この頃流行りのお嬢様
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「お前達、静かにしろって言ってるだろうがっ!」



担任が叫ぶ声など物ともせず、その転入生に向けられるヤジや冷やかし。

バンバンと何度も名簿を黒板に叩きつけるも効果なく。

“…ったく、こいつらは…”とカナはため息を落とした。



面白味がない日常に現れた“非日常”だから仕方ないか、とも思うが。

これだけ騒がしいと、転入生の自己紹介にすら進めない。



すぅ、と息を吸い込み。

「お前た――…」

“お前達!!”…そう叫ぼうとしたら。



「…私は珍獣パンダか?」



ぽつり、と隣から聞こえた呆れ声。

“聞き間違えか?”とその表情を見れば、先ほどの微笑みが嘘のように掻き消え。

入れ替わりに浮かんだ無表情は、綺麗な顔だちをしている分、何とも言えない迫力がある。



「お、おい…?」



転入生へと手を伸ばしたカナを気にも留めず。

ルーシィは、くるりと背を向けると、黒板に置かれたチョークを手に取り。



「…アンタはいつの時代の番長だっ」



さすがに転入生からチョークが飛ばされるとは予想していなかったらしいラクサス。

避けきれず、その額にスコーンと直撃したピンク色のチョーク。



「けっけっけ。ラクサスだっせぇのー」

「うるせぇ!ナツ!!テメェだってさっきカナにぶつけられたくせにっ」

「んだと!?」



がたがた、とイスを鳴らして立ち上がる2人を呆れたように見る転入生の手には。

ぽーんぽーんと手で飛ばし遊ぶ青色チョーク。

パシッと掴み、投げようと構え――…。



「お前も大人しくしろ。転入生」

「…った!」



名簿で叩かれた後頭部をさすり、“痛いなぁ…”とぼやく。

その様子は反省している気配など微塵もなく。

投げられなかったチョークを心底残念そうに黒板へと戻す。



やっと大人しくてまともなヤツが増えたと思ったのに、やっぱりコイツも問題児。

“厄介なヤツが増えただけなのか”と、カナはがっくり肩を落とした。



ルーシィ・ハートフィリア。

旧ハートフィリア財閥のお嬢様、…のはずなのに。



「何だかなぁ…」



問題児しか集まらない自分のクラスの生徒たちに。

カナは改めてため息を落としたのだった。

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2011.02.08

おてんばルーシィ登場。

単発上げは楽しいなぁw


song:キューティーハニー

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