煌めきの彼方

□想いの彼方
1ページ/9ページ

 立派な神殿がマグマに飲み込まれ地底深くへと沈んでゆく。

2匹の聖獣はその神殿の中にあって、
お互いをかばい合うようにそこにいた。

全身にはそれまでの壮絶な戦いの後を残し、
息も絶え絶えである。


「ふっ、やはり彼の者も人間だな…

目の前の欲には勝てなかったか…」


金に輝く聖獣ゴルヴァは
してやったりといったような表情で話す。


「ふふっ…そう仕向けたのは

あなたでしょう?ゴルヴァ」


静かな声音に満足をのせて、
銀に輝く聖獣シルヴァが話す。


2匹の金と銀の聖獣は事をやりおえた満足感を
全身から漂わし穏やかに微笑んでいた。




「ぬっ…!なんだこの力は…」



突如感じたとてつもない大きな力の波動に
神官は驚きを隠せなかった。

これほどの力をまだあちら側が
有していたことが信じられないのだ。


「これほどの力…

我が感じぬはずなどない…

今のこの世に存在するはずなどないはずだ…」


これまで何百年とかけ、そぎ取ってきた光の力。

光の力を使える可能性のあるものを一人一人
使えるようになる前に屠り、
その芽を摘んできた。

光の力はその源を知らなければ使うことができない。
知るのにやはり時間がかかってしまう。
それを気づく前にそれらをすべて
亡き者にしてきたのだ。


今光の力はわずかとなり、
この世を魔の力で満たすのに
あとわずかとなっているはずであった。

そこに突然のこれまで感じたことのない
光の力の発動に神官は動揺を禁じえない。


「あなどったか…いや…

だがそんなことあるはずが…」

「ははは!われらの力甘く見たか!

やはりお前も人間だな…

所詮人間でしかないお前にはわかるまい。

たとえ魔の力をその身に持っていてもな」


まるで神官を煽るように、
見下すように響く声に
神官は声の主のほうへと向きなおす。


そこには金と銀に輝く獣が悠然とたっていた。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ