修学旅行
□弱さ
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一日の見学を終えて無事に宿舎に戻った、楽しかったフリをして颯太と笑いながら過ごした。
それでもなんだか心が満たない
ポッカリと穴が空いてしまった。
それを表情に出さずに必死になりながらも風呂にはいり、食事を終える。
布団に入ると幾分か気持ちもホッとはするが、いくら時間が経とうと眠くならない。
不意に翔平の言った言葉を思い出す、すると思わず涙が溢れた。
手で拭うも、次々にあふれてきて枕を濡ら
してしまう。
慌てたように両手で目尻を擦る、自分の涙を拭くのに夢中になっていると急に声がする。
颯太『…寂しいのか?』
いつもと違う声に、涙を拭くのも忘れ振り向いてしまう。
見なきゃ良かった
真剣な颯太の顔、不意打ち過ぎてドキリとした。
颯太『泣くほど、翔平の事気になんの?』
颯太が俺の方に手を伸ばして頬を撫でる、触れた手が暖かい。何故かボロボロと涙が出た
寂しいから?
嬉しいから?
悲しいから?
分かってくれたから?
分かんないけど
答えられない
颯太『お前を見てるとツラい、どうしたら笑ってくれんの?』
笑ったじゃん…作り笑いだったけど。
気づいて…たっ…て?
隼人『はは…ごめ……ッ』
もう…どうしたら良いのかわかんね。
涙止まんないし…颯太は真剣だし…もう、気ぃ張る意味もない
隼人『颯太…俺、怖い。このまま翔平が戻って…来なかっ…たら…どうし…よォッ…』
切り出した途端また呼吸が苦しくなって、上手く言えない。
颯太の瞳が揺れるのが分かったけどそれ以上は視界が涙で歪んでよく見えない、ただ俺の頬を撫でる手温もりだけ分かる。
颯太『大丈夫に決まってン…ろ、落ち…け…』
消えかける意識の中で、いつの間にか気持ちが軽くなっていることに気付いた。
早くから心、開いてれば良かったな…
ありがとう、颯太…
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