修学旅行

□バイバイ
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隼人『赤坂…』

意外な人物に思わず目を開き自分より身長の低い相手を見つめる、照れるかと思いきや案外深刻そうな表情をしていた。

颯太『え?!いま何て言った??』

背中でうれしそうに弾む声が聞こえる、「はぁ」とため息を吐いて颯太に文句を言おうかと口を開く

由衣『橘くん、部屋に入れてくれる?話があるの』

強い意思のこもった言い方に思わず固まった、それは颯太も同じだったようで二秒程沈黙の時間が流れた。

赤坂は堪えきれないとばかりに俺の体をすり抜け部屋の中に入る、まだテーブルは出していないので座布団もない。

赤坂は畳の上に正座をすると俺の姿を静かに見つめていたので、逆に頭が冷静になり頭を掻いてから渋々…を演じ赤坂の前にあぐらをかいて座る

隼人『…で、話って何。』

昨日カップルになったとは思えないくらいのどんよりした雰囲気で、つい暗い声になりながら問い掛ける。
すると赤坂も静かに頷き口を開いた。

由衣『うん…あのね、河津君の事なの。いつの間にか居なくなったでしょ?実は居なくなる前にちょっと話をしてたんだ…あたし。』

聞かれちゃ不味い話でもないのに、赤坂は口に手を当てて小さい声で言う。
翔平がわざわざ赤坂になんか言う必要があったんだろうか…、なんで赤坂だったのだろうか。

隼人『で…何の話をした?つーか…アイツから話しかけてきたのか…?』

つられてこっちもボソボソした喋りになって、何となく顔も近づけてしまう。
すると赤坂は驚いたように目を開くと、赤く頬を染めてからわざとらしく咳払いをし姿勢を正した。

由衣『うん…話って言うほど言葉は交わしてないの、ただ"隼人は照れで分かりづらいところもあるけど、仲良くしてやって"って。それだけ言うと居なくなっちゃって…』

そこまで言い終わるとシュンと肩を落として畳の目に視線を落とす、どうやら話はここで終わりらしい。

翔平の最後の言葉を聞いて、尚更分からなくなった。
何故わざわざそんなこと言ってから居なくなるんだ?
しかも人の心配して
意味分からん。

渋い表情をしていると、視線が頭に刺さった。
何かと視線を浮上させると心配そうに見つめる赤坂が目に入る、首をかしげると赤坂が急に立ち上がる

颯太『赤坂さん?』



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