Thank you for your Clap!! 

↓「本当に、本当に大好きなんです」↓






明日勝てば俺達は終わり。
明日勝てばもう会えない?

「…斉藤?」

急に黙ってしまった俺を振り返り、トキさんが訝しげに覗き込んでくる。

(…あ。やばい。俺、明日、勝ちたくない…)
その視線を見つめ返しながら、俺は込み上げた気持ちに愕然とした。

「?どうした」

その目に、俺を見て欲しくて。
その手で、俺に触れて欲しくて。
その心が、全部俺になればいいって、何度も思った。
トキさんに好かれることばかり考えて、喜んでくれそうな事はなんでもやった。
そしてそれ以上に、その心に奥深く巣食っている黒い鎖が 解ければいいと強く願っていた。

なのに今、トキさんはあのストラップを見てポツリと言った。

「…やっとここまできた…」と。

静かに噛み締めるように呟くその姿に、俺の目の前は真っ暗だ。

どれだけ俺がその依存を間違っていると叫んでも、この人を引き戻すことはもう出来ない。
だって明日が終われば、もうその手を握り続けることは出来ないのだ。

何度か子供のようなキスをしただけの関係。
だけど俺はきっとトキさんの心にも触れているのだと思っていた。

(……なんだ…。全部、俺の自惚れじゃん…)

トキさんの視線の先には、いつだって別の誰かの影がある。


「鴇さんにとって俺って何ですか?」
「…なんだ急に」
「いいから、答えて下さいよ。最後の俺のワガママです」
「…。」

俺の質問に、トキさんはフイと顔を背ける。
むくれたように 小さく言う。

「………仲間だ…一応」

素直じゃない答え方。
昔なら絶対に言ってくれなかった、認めてくれなかった関係。

ほんの少し前なら、きっとその一言で大喜びできたのに。
俺はいつからこんなに欲張りで 意気地なしになってしまったんだろう。
情けなくて、悔しくて、悲しくて。
俺は無理をして へらりと笑ってみせた。

「……そっスか…」

だけどどうしても、トキさんの心に俺を少しでも残してもらいたかった。
このまま明日が終われば俺のことなんて泡のように消えてしまうのだ。
そんなの、辛くて。辛くて。辛くて。

「…トキさん?」
「?」
「もう一個、ワガママ言ってもいいっスか…?」
「…何」
怪訝そうにチラリと見上げられる視線。
その目が俺を見るのはあと何回だろう?
俺の声を聞いてくれるのは、いつまでだろう?
胸がチリチリを痛くなってくる。
もう、笑顔は続けられなかった。
鼻の奥がツンとする。

トキさんを困らせるとは、分かっていた。

「……俺、トキさんと、キス以上のことが、したいんです…」

ぐっと俯いて泣き出しそうな俺を、トキさんは言葉を失ったまま じっと見ていた。



■……拍手御礼なのにこんなお話で、良かったんだろうか((笑"


何かありましたら どぞー(*´`)



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