Dream

□横顔
1ページ/1ページ

あの子の横顔は
わたしの宝物


::横顔::


「ね、宙、さっきのここ、分かった?」
「お前さ...ヤバイと思うよ、こんなの分かんなかったら」
「...えへっ」
「キモい」

ぱこっ とその綺麗な頭のこめかみ辺りをはたくと
眉をしかめながらじろりと睨む横顔と
してやったりという満足気なわたしと

この少し冷たいてのひらに残る、
熱。

宙はすてきだ

他の男の子とは違う
何もかもが違う

格好いいし
頭いいし
優しいし
モッテモテのくせにそれを鼻に掛けない
本当にパーフェクトでワンダフル

...あたしがボキャブラリー貧困なのはさておき。

そんな宙を好きになったのはもういつだったか、忘れてしまうほどで

毎日毎日、彼を目が潰れるほど見つめ続けていた
心が擦り切れるほど思い続けていた
彼に一番近いのはわたし、と言い切れるほどに

宙は他の女の子にはそっけない態度だけど(贅沢な奴!)
わたしには、ちょっと
うん、ちょっと。

「ねーお前聞いてる?」
「あっ、うん!」
「せっかく俺が教えてやってんのに上の空かよー」

ちょっと...期待をする

ああ
なんてきれいな横顔

この距離
この息遣い
それを感じられるのはきっとわたしだけ

彼の誰も知らない仕草や
彼の普段喋る声とは違う低めの落ち着いたトーン
彼のこのきれいな横顔

わたしだけのもの
それはきっと、これからもっと...


「そ、宙くん!!」

突然教室に響き渡った
カナリヤの様な声

その綺麗な美しい声の主に顔を上げると
わたしよりも先に彼は、あの横顔を彼女に向けるのだった

(わたしだけの、)
(横顔....)


もう一度声の主を見やる

それはそれは
大変可愛らしい
色が白くて
小さくて華奢で
可憐という言葉が誰よりも似合う

微笑むその口元は
そうまるで

「センパイ!」

彼の、宝物だったのだ

少し、遠くに佇む二人の姿は
それはそれは絵になるほど美しく
誰もが見惚れるほどだった

でもそれよりも
何よりも
彼の、横顔が
苦しいほどに彼女に恋をしているのだ

わたしには、
向けられない


大きな音を立てて何かが崩れ落ちた気がした

羨望や嫉妬や羞恥
色々なものが胸の中で混ざりあって
身体中を侵していく

そのままこの恋心も汚して
溶けてなくなってしまえばいいのに


でもそれでも
君の横顔ばかり見てしまう

馬鹿みたいに、
まだ君が好きだ


fin.

----------------------------

宙くんでした〜。
ああ、いつも通りの水村って感じだね(笑)
あえて名前変換なしで、主人公ちゃんと星スクヒロインちゃん、お好きな方でご自分を当てはめて下さいね〜。

いや〜十代の恋ってそこにあるだけで美しいよね。


20101113
水村

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ