僕と君の違う温度
□氷のような彼
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「うぅ…、さぶい……」
10月中旬。
少し肌寒くなってきた頃、すでに鼻水が垂れて毛布を頭から被っている少女がいた。
「あ゙あ゙ぁぁぁ!!何でこんな寒いのよ!!」
廊下や隊舎では淡々と仕事をするものが多い。その中で彼女、清水レナは仕事もせずに毛布を被っていた。
「なんじゃ、また寒いのか?」
「当たり前です!!もう10月ですよ!早くストーブ付けましょうよ!」
レナの後ろから声をかけてきたのは、護廷十三隊の頂点に君臨する総隊長・山本元柳斎重國。
「いつも言っておるだろう?ストーブを点けるのは雪が降ってからじゃ」
「うぅ…」
「そうやって部屋に籠もっているから寒いんじゃよ」
総隊長はみんなも知っているとおり、一番隊隊長である。しかし、レナは一番隊隊員ではない。じゃあ、どこ?と聞かれれば、どこにも所属はしていない。
「ほら、ボケッとしとらんで散歩でもしてくるんじゃよ。お主がいると隊員が仕事にならんわ」
「はいはい、分かりましたよ」
渋々立ち上がって一番隊隊舎を出て行くレナ。その際にも決して毛布は片時も離さない。
「レナ様にも困ったものですね」
総隊長に声をかけながら近付いてきたのは、一番隊副隊長の雀部長次郎。
「あのような性質がなければ、総隊長の右腕にもなったやもしれぬのに…」
「そうじゃの」
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