平凡Aと平凡Bの非平凡物語
□07
1ページ/1ページ
〜回想〜
『おいっ…ハチ…大丈夫か?』
「ハハハ…ダイジョウブダヨ?」
アハハハと涙目で笑う友人。…大丈夫じゃないと思うのは俺の気のせいじゃないと思う。
こうなったのは数学のノートを出しに行ってからなんだが…何かあったのだろうか?
『あー…今日こっちから帰るから…。』
「あっ…うん…」
フラフラとした覚束ない足取りの友人。
本当…奴に何があったのやら…
『…まぁ…あいつの問題だしな…』
(俺が口出すような事じゃないだろ…。)
そう思いハチとは逆の方へと足を向けた。
そう…今思えばこれが運命の分かれ道だったのかも知れない。
『…えっ?』
だって誰が思うだろうか?
帰り道…少し位路地裏で…血溜まりが出来ていた光景を…
「ひっ…ひぃ…」
「たったすけ…」
“ドガッ”
「都合の良い事いっちゃ駄目だよーん♪君達は俺に喧嘩を売ったんだからぁ♪」
その中で一人、返り血を気にせずたっている姿を…
日常の中にある非日常の姿を見るなんて…
一体誰が予測出来たって言うんだ?
「あーぁ…見られちゃった…。」
先程と変わらない口調でニコッと笑いながらこっちを見てくる男。
正直に言おう。
怖いと思った。
足が震えた。
そして…俺は…
逃げた。
後ろから聞こえた逃げちゃった〜逃げれないのにねぇ〜と言う言葉は無視した。
そして忘れた。
何も無かったように…。
〜回想終了〜
「でも本当に忘れてたんだねぇ〜♪」
普通は恐怖で忘れられないものだけど…と目の前の篠月様は言った。
『…貴方も忘れてくれればよかったのに…。』
そうすれば俺は日常に戻れたのに…。
「でも…言ったでしょ♪“逃げられない”って♪」
あの時あの場所に居た時点で君の運命は決まってたんだよ♪
何ていう篠月様。
何でこんなことになってしまったんだろうか?
「おいっ…。」
“ガラガラガラ”
と教室の扉が開く。
「帰るぞ。」
そこにはもう一人の美形で有名な先輩…ビー様が居た。
「えぇ…今からいいとこなのにぃ…」
知るかと吐き捨てるようにいうビー様がいう。
「もう…もうちょっと俺の都合にも合わせてくれてもいいのにぃ…」
と小言を言いながら俺の上から退く篠月様…
内心ほっとため息をつく。
「じゃあまたね♪東雲颯太君♪」
チュッと手にキスをされる。
その目は俺をしっかり捕らえていて…
“逃げられない”
そう察するには充分過ぎるほどだった。