妖精の集い
□妖精の集い2
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「でも、黒い奴等って……ナツさんってば驚かせないでくださいよ」
「あら、黒い奴等は本当にいるのよ」
「え?」
その言葉に、ツナは驚いたようにミラジェーンを振り返る。
「連盟に属さないギルド、それを闇ギルドと呼んでるの」
「闇ギルド……?」
「あいつ等、法律無視だからおっかねーんだ」
「あい」
「じゃあ、いつかアンタにもスカウト来そうね」
「あ、あはは……」
ルーシィの溜息交じりの言葉に、ツナが乾いた苦笑を零す。
やがてルーシィにナツが次の依頼のことで話しかけているのをツナは見ていたが、ふと、山本が辺りをきょろきょろと見渡していることに気付くと首を傾げる。
「どうしたの、山本?」
「ん?ああ、なんか今日じーさん見ないなーって」
「え?あ、そういえば、そうだね」
その言葉に、ツナも辺りを見回す。
いつもの位置にマカロフはおらず、幾ら探してもその姿は見つけられなかった。
「マスターは定例会よ」
「定例会?」
聞き覚えの無い言葉にツナは首を傾げるが、獄寺が少し考えた後に呟く。
「……ギルドマスター同士の集まりか?」
「ええ、そうよ。だから帰ってくるのはもう少し先かしら」
「もう少し先って、そんなにその定例会って時間がかかるんですか?」
「ううん、此処から少し離れたクローバーの街で定例会があるから、その移動時間のせいね」
「そうなんですか……大変ですね、マカロフさん」
「それがマスターの仕事だからね」
仕事、という言葉でツナはある事を思い出す。
「あ、そういえば、ナツさん、ルーシィさん―――」
ギルドの仕事ってどんな感じなんですかと聞こうとしたツナが、二人の方を振り返る。
「だいたい金髪の女だったら誰でもよかったんでしょ!!」
「(いつの間にか修羅場!?)」
「何言ってんだ……その通りだ」
「(ナツさん―――!!!?)な、なんでこうなったの?」
「なんでも、依頼時に金髪の女が必要だったみたいで、それでああみたいっす」
「そ、そうなんだ……どうしよう、喧嘩を止めないと……」
「大丈夫っすよ、ただの痴話喧嘩みたいですし」
「ち、痴話喧嘩って……」
「あ、見てください、十代目」
獄寺の言葉に、ツナは振り返る。
「でもルーシィを選んだんだ、いい奴だから」
「う……」
屈託の無い笑顔を浮かべるナツと、ナツの言葉に何ともいえない表情を浮かべるルーシィ。
意図せず終わったらしい痴話喧嘩(?)に、ツナは知らないうちに安堵の息を吐いた。
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