オリキャラの話

□遭遇〜アクア団編〜
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それからもナツ達は出会ったトレーナーや野生ポケモンを相手に、順調にレベルを上げていった。

「よし、いい感じだ!ん?誰かいるな」

視線の先に居たのは森には似つかわしくない、背広姿の男性だった。

「うーん居ないなあ」

きょろきょろと辺りを見回す男性。彼はナツ達に気付くと、こんな事を聞いてきた。

「ねえキミキミ、このあたりでキノココってポケモン見なかった?」
「いえ、見てません」

男性の問いにナツは首を横に振って答える。

「そう…おじさんあのポケモン好きなんだよねー」
「ならそこらへん探しましょう、もしかしたらい」
「あー、居た居た!せっかく待ち伏せしてたのに、いつまでもトウカの森から出てこないからわざわざ探しちゃったよ。」

2人の会話に割って入ってきたのは、傍らにぬまうおポケモンのヌマクローを従えたナツより少し背の低い、頭に青いバンダナを巻いた
金髪碧眼の同年代の少年。その出で立ちはまるで海賊だ。

「その書類、こっちに渡してくんない、デボンの研究員さん?」
「ひゃー!キミ、ポケモントレーナーだよね?おじさんを助けてよぉ」

少年は笑顔で書類を差し出すよう言った。だが男性はそれを拒みナツの後ろに隠れ、助けを求める。

「え?ちょ、…仕方ない。おいお前、人の物を無理に奪うのは犯罪だって教わんなかったのか?」

ナツは少年に向かって言い放つ。

「君、その人庇うの?」
「ああ、生憎悪事は見逃せねぇ性質でな」

…昨日の事は置いといて。と心の中で自分に言い聞かす。

「しょーがないなぁ、邪魔する相手は子供でも容赦するなって言われてるし、勝負するしかないね」
「ッテメェも子供だろうが、ムカつく奴だな!!決めた、テメーはコテンパンに叩きのめす!!行け、キト!」
「君に出来るかなぁ?やるよ、ヌマクロー!」

少年の発言にイラッときたが、それより何より、勝つためには相手の分析をするのが先だ。

(レベルじゃ劣るが、相性とスピードならこっちのが上だ!)

そう判断したナツはキトに攻撃の指示を出す。

「でんこうせっか!」
「うぉっ!」

ナツの思った通り、相手のヌマクローはキトの素早さについてこれず、攻撃をもろに受けた。

「いいぞ、そのまま連続ででんこうせっかだ!」

キト得意のスピードで攻めまくる。だが、相手もやられてばかりではなかった。

「ヌマクロー、どろかけ」
「うわっ」
「キト!!」

次の攻撃を仕掛ける為に振り返った一瞬の隙をつかれ、泥がキトの顔面を直撃した。

「くっ、泥が、目に…」

キトは目に入った泥により、視覚を封じられてしまった。

「たいあたり」
「うっ」

どんなに素早くとも、視界を奪われていては攻撃をよける事もままならない。

「マッドショット!」
「うわっ!!」
「頑張れ、キト!!」

やられっぱなしのキトに、ただ言葉をかける事しか出来ない自分がもどかしい。

「さっきまでの勢いはどうしたの?」
「うるせぇ!!まだまだこれからだ!」

相変わらずの笑顔に、殴りかかりたい衝動をおさつつ、ナツはある技が出てくるのを待っていた。

「そうこなきゃね、ヌマクローみずでっぽう!」
「キト、真正面で受けてやれ!!」
「?!」

普通、かわせという指示は出す。だが、あまり攻撃を受けろと命令するトレーナーは少ない。

「っ!!見えた!」

みずでっぽうを受けたことにより泥が洗い流され、キトの視覚が回復する。ナツはこれを狙っていたのだ。

「へぇ」

こんな戦い方、よく思いつくなぁ、とフユは関心する。

「はたく!」
「みずでっぽう!」

キトはみずでっぽうをかわし、ヌマクローを跳ね除ける。

「マッドショット!」
「タネマシンガン!」

二つの技はぶつかり合い、爆発を起こす。その衝撃で辺りの土が舞い上がり、視界を遮った。

「ヌマクロー、気をつけて!」
「へっ、もう遅いぜ!キト、すいとる攻撃だ!」

土煙に紛れて、キトはヌマクローの背後に回っていた。キトはヌマクローに狙いを定めて体力を奪い取る。

「ぐぅっ!!」
「ヌマクロー!」

残りの体力を吸い取られたヌマクローは戦闘不能になり、その場に倒れ込んだ。

「…戻って、ロッキー」

少年は初めてヌマクローの名を口にし、モンスターボールに戻した。

「何だ、名前つけてたのかよ」
「うん、本当は任務中は名前呼び禁止なんだ」
「ふーん、で、まだやるのか?」

何が禁止されていようが、そんな事に興味は無い。今のナツにとって重要なのはバトルの事だけだ。

「残念だけど、手持ちはロッキーしか連れてきてないんだ」

さして残念に思っていないような様子で少年は言う。

「て事は…」
「僕の負けで、君の勝ちってこと」

少年は両手を肩の高さで開いた。

「よっしゃあ、これで5連勝だ!!」

ナツは嬉しそうに右手でガッツポーズをとる。

「やったね、ナツ!」
「ああ、お前のおかげだ、ありがとうキトォ!!」

ナツとキトは強く喜びの抱擁をかわす。

「っとそうだ、もう大丈夫だぜ、デボンの研究員さん!」

ナツは振り向いて隠れていた男性に声をかける。

「本当かい?」
「ええ、この通り」

ナツは親指で両手をあげたままの少年を差した。
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