オリキャラの話

□救済―前編―
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そして今、砂漠の入口から少し進んだ所で、ナツ達は砂嵐に襲われていた。

「こりゃスゲーな、確かにゴーグルがなきゃ目も開けられないぜ」

百聞は一見に如かず、やはり自分で体験するのが一番だ。ナツはマントで顔半分を隠しながら砂嵐の中を進んでいく。
しばらく進むと、モンスターボールの中でキトが何やら訴えかけている。ナツは砂嵐を防げそうな岩陰でボールからキトを出した。

「どうした?キト」
『何だか向こうから嫌な感じがするんだ、そう、たくさんのポケモンが怒ってるみたいな…』

いつも控えめで大人しいキトが自ら騒ぎ出す位なのだから、余程の事である。
心配そうに察知した異変を打ち明けるキトの指さす方へナツも意識を集中させる。

「ん…確かに!でも妙だな、普通砂漠にいるポケモンはあまり群れをつくらないのに…よし、行ってみるか!」
『うん!』

胸騒ぎを感じた2人は騒ぎの方へ走った。近づくにつれ、砂嵐が激しさを増す。

「キト、大丈夫か?」
「これくらい何ともないよ!心配しないで」
「フフ、頼もしいな…!見てみろ!ナックラーのコロニーの中に誰かいる!!」

ナツは数十匹のナックラーの中に人影を見つけた。普通の人なら5m先がやっと分かる状態だが、ナツは40m程の所でそれを確認した。

「そうか!今は丁度ナックラー達の繁殖期で相当興奮してる、人であれポケモンであれテリトリーを侵せば容赦なく攻撃されるぞ!!」

ナツ達は急いでコロニーを目指した。



激しく威嚇行為を繰り返すナックラーに囲まれ、立ち尽くすフードを目深にかぶった1人の男性。

「これは不味いな…まさかこれだけの数のナックラーが居たとは」

ようやく長年の野望が実現へ向け躍進し始めた矢先、ヤツらも動きを活発にさせている。胸の高まりの反面、少々の焦りもある。心配する部下の制止を振り切って単身この砂漠へ乗り込んだものの、砂嵐で視界を遮られた上にGPSも電波状態が悪く殆ど機能しない。
万が一に備えて持ってきた方位磁針も磁場の影響か針が定まらない。
そんな散々な状況で出口を探し彷徨い着いたのがこのナックラーのコロニーとは、何とも情けない。

「…仕方がない」

本来ならこんな事はしたくない。ポケモンには何の罪もないのだから。だが、こんな所でみすみすやられてやる訳にもいかない。
男性は自身のモンスターボールに手をかけた。しかし、そこからポケモンが放たれる事は無かった。

「キト、タネマシンガン!!」

ナツの指示に従い、キトはナックラー達に直接当たらない様に技を繰りだす。
突然の遠方からの牽制攻撃に驚いたナックラー達は砂の中へ潜って行った。しかし、残った数匹がナツ達に襲いかかってくる。

「よっと、こっちへ!」
「?!…あ、ああ」

ナツはそれをかわし、キトをモンスターボールに戻すと男性の手を引いて砂嵐の中を駆けていく。

いくら専用のゴーグルを付けていても、砂嵐の中では右も左も分からない。だがナツは迷うことなくその中を進んでいく。

(…何処に向かっているのだろうか?)

多少の不安はあったが、今はただ引かれる手に従うしか無い。10分ほど行くと、目の前におぼろげな砂の塔が現れた。ナツはためらう事無くその中へ入って行った。

「ふぅ、ここまでくればもう大丈…」

これでしばらく安全だと歩を止めたナツ達の前に現れたのは、1匹の若いオスのナックラー。どうやら先程の群れの一員らしい。

「お、お前こんな所まで追ってきたのか!なかなか根性あるじゃねぇか」

ナツは直感的にこのナックラーが仲間になると確信した。

「よし気に入った、お前、俺達の仲間にならないか?」
『!そんな事言う人間さんは初めてだよ』

ナックラーはナツの言葉に驚いたが、少し考えて提案を受け入れる。

『うん、いいよ!でも僕は自分より弱い者の言う事はきかないよ?』
「へへ、そうこなくっちゃ!いくぜ、オウヒ!!」

ナツはオウヒを繰り出し、積極的に攻めていく。

「でんこうせっか!」
『うぁっ!』

第一撃が決まると、続けざまに攻撃を指示する。

「つつく攻撃!!」
『ううっ!』

第二の攻撃も当たり、優位に立ったナツとオウヒ。だが、ナックラーもただやられるわけにもいかない。

『っすなかけ!』
『くっ!!』

ナックラーは一瞬の隙をついて砂を巻き上げ、そのまま姿をくらました。

「一体どこに…」
『逃げた、という訳ではないな…』

ナツとオウヒは目に見えない相手に対し、いつも以上に精神を研ぎ澄ましていた。
だが、それは突然の出来事だった。

『ぐぁっ!!』
「オウヒ!!?」

突如背後に現れたナックラーに対応できず、オウヒは攻撃をもろに受けてしまった。

『どう?僕のだましうち、けっこう効くでしょ』
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