オリキャラの話

□遭遇〜アクア団編〜
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早朝、ナツはトウカシティのポケモンセンター脇の空き地で、ポケモンバトルを申し込まれていた。勝負は終盤、ナツはキトに最後の一撃を指示する。

「キト、はたく攻撃!」
「ああ、ジグザグマ!」

相手のジグザグマは戦闘不能。ナツとキトは見事勝利を勝ち取った。

「よっしゃあ!キトよくやったな、初バトルにして初勝利だ!!」
「はい!ッナツ!?」

ナツはキトを抱きしめ、喜びを全身で表す。いきなりの事にキトは驚いたが、ナツ流の喜びを共有する行為は嫌いではなかった。

「へえ、君これが初バトルだったの?」
「ああ、実は俺達昨日旅立ったばかりなんだ」

ナツはキトを解放し、照れくさそうに鼻の頭を掻いた。

「それはおめでとう、じゃあそんな君たちにこれをあげるよ」

少年は2本のアンテナのついた箱の様なものを差し出した。

「これは…技マシン!!いいのか、こんなもの貰っちゃって」
「うん、僕のポケモンはこの技覚えられないし、君達にぴったりの技だと思うよ」

技マシンの中身はタネマシンガン。草タイプの連続技だ。

「ありがとう、お言葉に甘えて早速覚えさせるよ!いいな、キト」
「はい!」

ナツはキトに向けて技マシンを起動させた。淡い光がキトを包み込み、溶け込むように消えた。

「よし、試し撃ちだ!キト、タネマシンガン!!」
「はぁぁ!!」

キトは今しがた覚えたばかりの技を放った。無数の種子が構えた右手から放出される。

「スゲーじゃん!!メチャメチャカッコいいぜ!」
「そ、そうですか?」

褒められ慣れていないキトは照れて顔が赤くなっている。

「喜んでもらえて良かった、じゃあ僕はそろそろ行くよ」
「ああ、本当にありがとう」
「世の中は持ちつ持たれつ、君達も良い旅を!」

そう言って少年は去って行った。

「さあ、俺達も出発だ」

ナツはキトをボールに戻し、カナズミシティへ向かう。途中、トウカシティで最も大きな建物であるポケモンジムにさしかかる。
ナツは思わず建物の前で立ち止まった。

(ここがトウカのポケモンジムか…いや、今は早くカナズミに行かなきゃ)

ジム挑戦に興味がない訳ではないが、手持ち1匹で勝てる程ジム制覇は甘くない事位わきまえている。ナツは再び歩き出した。
トウカシティを出てしばらく行くと、すぐにトウカの森の入口にさしかかった。

(ここを抜ければカナズミはすぐだ)
「よし、行くぜ!!」

ナツは気合を入れ直し、トウカの森へ入って行った。流石に正規の道だけあって、ある程度道は整備されていて歩きやすい。
だがそれが全てという訳ではなく、やはり草の生い茂った場所も少なからず存在する。こういう場所には、ポケモンが隠れている事が多い。
ナツは草むらに足を踏み入れた。ガサガサと音を立ててしばらく歩いていると、突然野生のポケモンが襲ってきた。

「うわっ!!」

ナツは急いでキトをモンスターボールから出した。

「キト、はたく攻撃!!」

キトは尻尾ではたく攻撃を繰り出し、出てきたケムッソを撃退した。

「フゥ、ビックリした…」

ナツは額の汗を拭った。

「本当に野生ポケモンっていきなり襲いかかってくるんだな」

頭では分かってはいたが、実際体験すると少しショックを受ける。その辺りは普通の新人トレーナーと同じだ。

「ありがとな、キト」
「いいえ、この位どうってことありません」
「そっか、頼もしいな!」

キトの言葉にナツはニッと笑った。

「…あの、ナツ」
「何だ?」
「本当にいいんでしょうか、昨日の森での事を警察に言わなくても」

キトは昨日の出来事を気にしているようだった。

「うっ…で、でもまだあいつ等が悪い事してたと決まったわけじゃないし、もう昨日の事だ、行っても何もありゃあしねえよ」

彼らの行為が黒に近いグレーであることは十分分かっている。だが、出来ればもう、特にあの顔は、思い出したく無い…。それに
警察が事後捜査の類に関してはほとんど無能である事をナツは身をもって知っている。言うだけ無駄だし、面倒事に巻き込まれるのは
もう沢山…そんな事を考えていると、目の前にこツバメポケモンのスバメが現れた。

「スバメだ!…よし、アイツを仲間にする!」

ナツは振り切るようにスバメをゲットする事を決めた。

「なぁスバメ、俺達と一緒に来ないか!」

ナツはスバメの前に出て言った。

「それは俺に言ってるのか、ニンゲン」
「ああ、お前以外のスバメじゃ意味がない」

真剣に互いの目を見つめる2人。

「…面白い、なら俺と勝負して勝ったらお前について行く!」
「望むところだ!行くぞ、キト!!」

キトは戦闘態勢に入った。対するスバメも空中へと飛び立ち臨戦態勢で迎え撃つ。

「気をつけろよ、相手は飛行タイプ、相性的には断然不利、相手から目を離すなよ!」
「はい!」

キトは睨み付けるようにスバメを見据えた。当のスバメはきあいだめで張り切っている。

「行くぞ!」

スバメはでんこうせっかを繰り出して来た。

「かわしてタネマシンガンだ!!」

キトの放ったタネマシンガンはスバメに当たったものの、効果は今ひとつ。大きなダメージにはなっていない。

「草タイプなど、これで一撃だ!」

スバメはつつく攻撃を繰り出して来た。

「うぐっ!!」

効果抜群の技を受けて、キトは苦しそうな声を出す。

「キト、でんこうせっかで振り払え!!」
「っ!!」
「逃がすものか!」

一時的な回避はできたものの、キトはすぐ木の根元まで追い詰められてしまった。

「これで終わりだ!」

スバメはでんこうせっかを使い、勢いよく向かってくる。

「上だ!!」

キトはナツの声に反応してひらりと体を縦に翻し、逆さまの状態で木にしがみ付く。

「なっ…うっ!!」

突然の事でスピードを落とす間もなく、スバメは木に激突してしまった。

「タネマシンガン!!」

無防備に晒されたスバメの背中にタネマシンガンを撃ちこむ。

「くっ、まだまだァ!!」

スバメは体勢を立て直し、つつく攻撃を仕掛けてくる。

「かわしてはたく!」
「ぐあっ!!」

キトはつつく攻撃をかわし、大きな尻尾でスバメを地面に叩き付けた。

「行っけぇ、モンスターボール!!」

ナツはタイミングを見計らい、モンスターボールを投げた。ボールは見事命中、赤い閃光を放ちスバメを収容する。ボールは地面に落ちると
カタカタと音を立て左右に転がり、中心にあるボタン部分が赤く点滅している。ナツとキトは固唾を飲んでそれを見つめている。
暫くすると、揺れが小さくなり、やがて点滅も消え、ボールは完全に静止した。ゲット成功の証だ。

「よっしゃぁ!!」

ナツはボールを拾い上げ、ガッツポーズをした。

「そうだ!早速だけど、出てこい、オウヒ!」

ナツはボールからスバメを出した。

「っつ、油断した…」

スバメはそう言いながら後頭部をさすっている。

「大丈夫か?」
「ああ、大したことはない」

心配はいらない、とスバメは答える。

「そっか、よかった!そうそう、さっき取っといたオレンの実があるんだ、一緒に食べようぜ!」

ナツは森を歩きながら、自生している木の実を幾つか採取していた。その1つであり、体力回復効果のあるオレンの実をキトとスバメに差し出した。

「それはいいが…さっき言っていた「オウヒ」というのは…」
「ああ、お前の名前だ!お前を見つけた時から決めてたんだ!」
「そうか、「オウヒ」…なかなか良い名だ、気に入った」

オウヒは笑ってそう言った。その言葉にナツも満足そうに笑う。こうしてナツの手持ちにスバメのオウヒが加わった。
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