オリキャラの話

□救済―後篇―
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気が付くと、そこは暗闇だった。どちらが上で、どちらが下か、目を開けているのか、閉じているのか、自分は生きているのか、それとも死んでいるのか、それすら分からない。

そんな状況の中、ふと頭の中を駆け巡るのは、まだ、生まれ故郷バルティナの小さな小島に住んでいた頃の記憶。
物心ついた頃から父さんは一年に数回しか家に帰ってこなかったが、その時聞かせてくれた遺跡の調査内容や冒険の話に心を躍らせていた。その傍らにはいつでも幸せそうに微笑む母さんが居て、それだけでとても幸せだった。それ以上は何も要らなかった。
…あの頃には、もう二度と、どんなに望んでも戻れない。

(これが、走馬灯ってやつか…)

死ぬ時は意外と気持ちがいいと、前にどこかで読んだ気がする。だが、身体はどんどん重くなって逆に苦しくなっていく。まるで深海に沈んでいくような感覚、と同時に目の前が急に眩しいほど明るくなっていった。







「…ん」

(ここは…?)

ぼやけた視界が徐々に鮮明になってゆく。現れたのは、見覚えのない白い天井。

(俺は…)

パタパタと足音が聞こえる。そこから生じる微かな振動、消毒薬の臭い、そして全身に広がる痛み。それらが停止した思考を次第に目覚めさせてゆく。ゆっくりと痛む右腕を目の前に持ちあげる。

(ああ…そうだ、俺は砂漠で流砂に落ちて…)

これで全て終わる、そう思ったのに…。もし神なんて奴が存在するなら、思いっきり殴り飛ばしてやりたい。そう思い、力の限り右手を強く握りしめる。

「あら?良かった、気がついたのね!あなた酷い脱水状態で、もう少しくるのが遅ければ危なかったのよ」
「…ジョーイさん?ってことは、ここはポケモンセンター?」

ナツが目を覚ました事に気付いて白衣の女性、ジョ−イがベッドの隣にやってきた。だが、いつも目にするポケモンセンターの制服とは明らかに服装が違う。疑問を抱きながらナツはゆっくり上体を起こした。

「ああ、無理しないで!それに残念だけど違うわ、ここは…」
「入るぞ」

ジョーイの話が終わる前に、どこか聞き覚えのある声と共にドアが開く。
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