作品(小説)

□雨に消える願い
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『ルーナが戻っていない』

そう聞いた時、無意識の内に体が動いた。外は激しい雨、視界は最悪。自分だってようやく戻って来た所だというのに、その一言で雨の中に逆戻り。何てらしくない。

柄にもなく走って、なんとか広場までたどり着いた。服や髪が体に張り付いて気持ち悪い。相変わらず視界は悪いが、そこに誰かがいるのは分かった。そしてそれが探していた少女の姿だということも。

「……ルーナ」

発した小さな言葉は、雨音に掻き消されてしまう。しかし彼女は聞こえたのか、ゆっくりと振り向いた。

「…………リオン…?」

その瞳はわずかに虚ろで、何も映していないのではないかと思った。その上何だか悲しそうで…儚いという言葉が余りにも似合いすぎる姿だった。

「…こんな雨の中何をしている
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