10時27分の別れ(死ネタ小説)
□10時27分の手紙
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prologue
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…12月25日
クリスマスに
千石清純が死んだ。
千石とは、中学からのテニスと千歳を通じての付き合いやった。
千石は、俺から千歳を奪ったライバルっちゅうヤツや。
四天宝寺高校にアイツが千歳を追って受験して来てから、俺らはずっと張り合って来た。
正直、俺は千石がそない好きやなかった。
軽いし、ハッキリせん性格やし、なんや隠し事が多い感じがして嫌やった。
せやけど、それがきっと千歳の前だけは違ったんやろうな。
千歳は…俺の入り込む隙がないくらい、千石が好きやったみたいや。
千歳に"趣味悪いで?"って何度言っても無駄やった。
その千石が
交通事故で死んだ。
千歳は、千石の葬式のあと
俺の前から…
いや…大阪から居らんようになってもうた。
学校は退学したらしい。
俺は、何にも手ぇつけへん毎日を送っとる。
千歳はどうしとるんやろ…
電話も通じへん…
実家におるんやろうか?
「…はぁ……」
ため息が出る。
今まで俺の傍におった人間が、二人もおらんようになったんや…
ぽっかり胸に穴が空いたような感じやわ。
…千石は、千歳だけやなくて…俺の日常もどっかに持ってってしもうたんや…
そない思った。