short◇naruto
□体温上昇中
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"恋"はとても素敵で、
たった小さな出来事で幸せになれる。
「今からプリント配るからー」
先生はそう言うと前の席の人から
プリントを回せと指示をしてた。
プリントを回す―――
ただ、それだけなのに
こんな小さなことも好きになれる。
ドキドキ、ドキドキ。
プリントが回ってくるのを待つ。
数秒すると、前から「ん、」と声が聞こえた。
『っ…あ、』
「…プリント」
シカマルはそう言って
あたしにプリントを渡してくれた。
[ありがとう]と言おうとしたのに、
ドキドキしすぎて[あ]で止まってしまった。
「ハッ…んだよ」
『え、いや…普通に…』
シカマルは吃ってるあたしを見て
小さく笑ってた。
いい意味で笑われてる訳じゃないのに
何でもかんでも嬉しくなる。
「って…お前、顔赤くね?」
『あ、赤…?』
わ、恥ずかしい。
しゃべってるだけで赤くなってた。
赤くしてきた張本人にそう言われて
また顔が赤くなるのがわかった。
「熱…じゃねーよな?」
『ち…違うよ、』
あたしは顔を逸らしながらそう言った。
間近にシカマルがいる、
ドキドキが止まらなかった。
「ちょ、頭貸せよ」
『っ、』
あたしが顔を逸らしたままでいると
シカマルはそう言って
あたしの額に手を当ててきた。
その途端、熱なんてないのに
体温が一気に上昇した。
それは、魔法のように不思議で
ドキドキが止まらなかった。
どうか、この魔法が解けませんように。
(ちょっ…大丈夫かよ?!)
(だ、大丈夫!幸せだから…)
(あ?何つった?)(な、何にもない!)
end◇◇