捧げ物
□せめて今だけでも
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幸村視点
目が覚めると、俺は病院のベッドに寝ていた。
どうやら倒れてここに運ばれてきたらしい。
周りにいる病院の人達が俺が目覚めた瞬間バタバタ動き始めて、親に知らせに行ったり。
俺や両親に病院の検査の結果を説明しはじめてきた。
結果は、まだ中学生の俺にはあまりにも残酷で。
病気のことを知ってしまった瞬間、自分自身を奪われてしまったような、そんな気がした。
―手術をすれば、治る見込みはありますが…それなりの覚悟はしていただかなくてはなりません。手術をしても、身体への影響が残ってしまうかもしれないませんので。
それって、もし成功しなかったらテニスは一生できないってことじゃないか。
なんで、神様は俺にこんなに酷いことをするんだろう。
そう考えたら、涙が出てきた。