頂き物
□黒風魔芽様から
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この天才の心をいとも簡単に奪ったあの詐欺師が憎い。
自分は乙女じゃなかったのに、毎日のようにアイツが気になる。
もうアイツしか考えれないほどアイツに溺れてしまっていた。
どれもこれも、全てアイツのせいなんだ!!!
「…先輩の気持ちはわかったんで、それを俺に言わないでくださいッス」
はぁ…とため息をつきながら言う赤也に、ブン太は赤也を見て半ば叫びながら言う。
「じゃあどうすりゃいいんだよぃ!?」
「そんなの告白すればいいじゃないッスか;;」
「あのなぁ〜、出来てればとっくにしてるんだよぃ!!そんくらいわかれバカ!!!だいたいなぁ、男に告られて『はい』って言うと思うか?思わねぇだろぃ!」
「そうッスけど…丸井先輩に告られたら大体の奴はOKしますよ?俺だってそうですし」
「あ〜…気持ちはありがたいんだけど俺、仁王が好きだから。ごめんな」
「え、告白したつもりないのにフラれた;;別に知ってたからいいんスけどね」
と、ここでチャイムが鳴った。
「あ、昼休み終わった。じゃあ俺教室戻るな」
「あぁ、はい。(俺お疲れ)」
ブン太は屋上から去って行った。
残った赤也は、独り言のように呟いた。
「まったく…いつも聞いてあげてるこっちの身にもなってくださいよ…ホント、さっさとくっつけばいいのに」
呟くと、赤也も屋上を後にした。
◇
放課後になり、部活の時間になった。
ブン太は、チラチラと仁王を見る。
「(………)」
「ι;;;」
「(じー。)」
「…のぅ、なんか用かの?;;」
「え?あ、いや…別に…」
そう言いながら他の場所に行く。
「なぁ!!俺ってそんなに見てたか!?」
「ああ、そりゃあもう。ガン見だったぜ…」
「マジ!?うわー俺ちょー変な奴じゃん!!恥ずい!!」
「大丈夫ッスよー、いつもなんで。」
「だってアイツのせいだもん!」
「わかってるから;;それ何回も聞いてるから;;」
いろいろ大変なんで、とにかくブン太を黙らせる。
そして、ブン太は水を飲みに行くと言って水道の方へと行った。
「ジャッカル先輩、このままでもいいんスか?俺は嫌ッスよ。卒業するまで丸井先輩の愚痴聞くなんて」
「俺だって嫌だぜ…あと3年間聞かされるかもしれないんだぞ」
「そこで提案なんスけど、今日2人に一緒に帰ってもらうってどうスか?」
「いいんじゃねぇか?これでちょっとは近づくだろ」
「スね…そうと決まれば…」
なにやらブン太と仁王をくっつける作戦を立て、早速実行することにした。
◇
部活も終わり、ブン太はいつものようにジャッカルと赤也を誘う。
「なぁ、帰ろうぜぃ」
「あぁ、すまねぇ…今日は無理なんだ」
「俺も用事があって無理なんス」
「えーマジ?…じゃあ今日一人かよぃ?」
「あ!!じゃあ仁王先輩と帰ったらどうッスか?どうせ一人だろうしw」
「『どうせ』とはなんじゃ『どうせ』とは。失礼じゃのぅ」
「だってホントのことでしょうが」
仁王と赤也が言い合うのを見ながら、ブン太は言う。
「あーいいよ。今日は一人で帰るからさ、じゃ」
そう言って部室を出て行ったブン太。
「あーもー先輩のせいッスよ!!早く追いかけて一緒に帰ってくださいよ!!!…っていねー!!!」
赤也が気付いた時には仁王はいなかった。
一方ブン太は。
とにかく歩いていた。
「…腹減ったな…なんか食おうかn「丸井!!!」!?!?」
え!?仁王!?なんで?!
「どうしたんだ?;;」
「はぁ…はぁ…どうせなら一緒に帰らん?」
「え…あ、うん…」
ブン太は、仁王の誘いにもちろん乗る。
本当はすごく緊張してるのに、冷静に見せる。
「丸井はどっか行きたいところある?」
「えーっと……ケーキ屋…」
「…ククッ…」
「笑うな!!///別に嫌なら一人で行くし!!」
「誰も嫌とは言っとらんよ。そうじゃな、行くか」
ブン太は手を引かれて、仁王について行く。
「ここじゃろ?丸井の行きつけの店」
「そうだけど…なんで知っt「まぁ、美味そうじゃな」無視か」
店に入ってケーキ屋を買い、店を出て一緒に歩きだす。
途中公園があり、休憩がてら休むことにした。
「ケーキ食おうかな♪腹減ってるし」
「帰ってからにすればええんに…」
「今食いたいの!!」
「そうけ」
バクバクと食べ出すブン太を見る仁王。
最初は気にしなかったが、見られると食べにくい。
「あのさ、見られると食べにくいんだけど…」
「ん?あぁ、気にせんで食べてええよ」
「いや、食いにくいんだっ…もういいや」
ブン太は、言っても無駄だとわかり、諦めた。
すると、いきなりブン太が動きをとめた。
仁王は、声をかける。
「丸井どうしたん?」
「……あのさ、…」
「?なんじゃ?」
「…引くかも…いや、確実に引くけど、聞いてくんねぇ?」
「ええよ?」
ブン太は下を向いたままなので、表情は見えない。
仁王が覗き込もうとすると、ブン太は勢いよく顔を上げた。
「俺さ、仁王のこと好きなんだ。」
「…え…」
「あ、でもその、付き合いたいとかじゃなくて…いや、できれば付き合いたいっつーか…もちろん仁王がよければだけど…気持ちだけでも知ってもらいたかったんだよ!!返事はいらねぇから!!!じゃ!!!」
ブン太は、仁王の返事も聞かずに座っていた場所を立つと、早足に去ろうとする。
が、仁王がブン太の腕を掴んで抱き寄せる。
ブン太は、なにが起こったかわからずに混乱する。
「え…え?」
「嬉しいぜよ…丸井」
「え?ごめん状況がわかんない…」
「俺も好きじゃってこと」
「…!!!…マジ?」
「あぁ、マジじゃ」
仁王の言葉に、ブン太は泣き出してしまう。
「Σそんな泣かんでも;;」
「う、れし涙なんだよ、ばーか!」
「ブン太」
「!おまっ…」
仁王は、反則だろとも言える声でブン太の名を呼び、涙を舐めとる。
「もう泣かんで?かわええ顔が台なしじゃ」
「っ…そんなこと言ったって、かっこよくなんかねーからな!」
「好きじゃよ、ブン太」
「お、れだって大好きだし!」
何はともあれ、無事にくっつけたようでよかったですね。
◇
次の日。
「俺たち付き合うことになったんじゃ!!ちゅーことでブンちゃんには手ぇ出すんじゃなかよ!」
これで愚痴られることもないな、と思っていたら、次にはノロケ話が待っていました。