捧げ物

□世界で一番くだらない
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授業が終わって、俺のふたつ後ろの席を見ようと後ろを向く。


けどその席にあいつはいなくて。


さっきの授業はやっぱりサボったんだなと思った。



「(…また屋上か。)」



仁王はサボるとき大抵保健室か屋上にいる。


今日は確か先生が休んでるから、保健室は閉鎖されてた筈。


となればきっと屋上にいると思う、多分。


仁王を探しに俺は屋上へ向かった。




キイ、と屋上のドアを開けると、予想通り仁王がいた。


ドアの近くの壁に寄りかかりながら座ってる。


その仁王の隣に俺も座った。


てかなんかゲームしてるしこいつ。



「あ、丸井じゃー。」


「丸井じゃーじゃねえよ。俺だって授業出てんのに何ちゃっかりサボってんのお前。」


「えー、だって昨日発売したこのゲームやりたかったんじゃもん。」


「ゲームかよ。てかこんな所にいたら寒くね?教室戻ろうぜぃ。」



えー、まだここクリアしてないんにーとか仁王は文句言ってるけど、俺は黙ってスルーした。



てか教室戻ろうって言ったのにまたゲームやり始めたし。

戻る気ないの?こいつ。





時々うおぉ、とかいろいろ言って真剣にゲームしてる仁王を隣で見る。



…こいつって、普通にしてればもっとかっこいいのに。


いや、確かにモテるんだけどね、仁王って。


でもあれ、いざ友達になると仁王は結構だらしないとこが多いってわかってきて。


まあ、他の人達は仁王は完璧ってイメージあるかもしれないけど。


外見も、普通にいいし。


仁王の切れ長の目とか、言ったことないけどすごく好きだし。


…何考えてんだろ、俺。


女みたいに、仁王のこと見てて、自分で自分きもい。



…いつからか、こんな風に仁王を今までと違う目線で見るようになった。



「(それがいつだったかは、もう忘れたけど。)」
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