ただ君と、甘い幻に浸る

□貴方は騎士、私は姫
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剣心と買い物から帰っている途中に、何者かに襲われている人たちを見つけた。


勿論剣心が放ってる訳もなく、荷物を私に放り投げ、いや預けて、その集団を倒した。



荷物、重い…



集団はすぐに引いて、私も襲われていた人に近づいた。


一人は私と同じくらいの背丈で、フード付きのマントを羽織っていて、顔をフードですっぽり隠している。
もう一人は、20過ぎくらいの男前な人。
洋風な服装で、サーベルを刺している。


おぉ、かっこいい。


「大丈夫でござるか?」

「ありがとうございます、日本の方の中には優しい方も居られるのですね。」

「剣心、大丈夫?」

「あぁ、大丈夫でござるよ。」

荷物を足下に置いて、剣心の隣に立つと、男の人と目があった。


「…ひ、め?」


「姫?って、誰が?」


呆然と言うその人の隣にいたフードを被った人が顔を覗かせる。

綺麗な赤色の長い髪…
透き通るような瞳。

白く通った肌。
すごく綺麗な人…

なんだけど。

え、えぇ?!

「先程は助けていただいてありがとうございました。私、アリーナと申します。」

「優に、そっくりでござる。」

パーツ変えたらまんま私になる?!
うわぁ…

話に聞いてた弥彦の時とそっくり…

「姫、このような所でお顔を出してはいけません。」

「堅いことを言わないで?私も優さんとお話したいわ。」

「え、あ…佐伯優、です…」

「まぁ、本当にそっくりですわ。」

び、美人さんに笑顔向けられちゃった!
顔はそっくりだけど私なんかよりもアリーナさんのが当たり前に美人だよ!


「そうだわ、優さん、パーティーにでましょう!」


「…はぁ?」



「姫…?」



「ふふっ、私のご友人として招待す…お招きいたします。」


「ちょ、ちょっと待つでござる!」


今噛んだ?
言い直したね。
じゃなくて!
意味がわからない。
と放心状態な私とプラス二名をつれてとりあえず道場に帰りました。



****



「お、王女?!」

道場に帰って、客間でとりあえず自己紹介していたら、まさかの王女様。

「えぇ、この度日本とイギリスの友好関係を深める為に開かれるパーティーに、我が国の王女が自ら出席されるのですが…何故か、国をでてから姫が狙われているのです。」

「何か心当たりはないでござるか?」

剣心、殆ど喋ってないね。
あれだ、びっくりしてるんだ。

私そっくりだから!


「……さぁ、解りかねます。」


おぉ?なんか怪しいぞぉ。
一波乱起きそうな予感。

巻き込まれないことを祈る。



「助けていただいて、更にこの様な申し出、差し出がましいとは存じます…ですが、貴方しか頼れる方はおりません。どうか、どうか姫を助けてはいただけませんか?」


あ、祈り通じなかった。
私に?


もしかして必要とされてる?


「ウィル、失礼ですよ。」

「も、申し訳ございません…」

ウィルって言うのか。
赤い瞳に、白に近い灰色の髪。
珍しい色…してる。

「これは私の問題、誰かを巻き込むわけにはいきません。」


うん、いい人だ。


でも…楽しそうだよねぇ。


「やるよ?身代わり。」


「優、何を…」


剣心が何か言う前につらつらと言う。


「だって狙われてるんでしょ?こっちには剣心と左之助と弥彦がいるし、私だって多少は戦える。」

「ありがとうございます、優さん!」


「あ、うん…あの、ウィルさん近い…」


にゅいっ!と手を握られて焦るけど、なんだか凄く喜ばれてるなぁ。


「良いのですか?優さん。」

「いーのいーの。困ったときはお互い様!剣心組にまっかせなさい!」


可愛い王女様に悲しい顔は似合わないしね。

なんて言ったらくすくす笑われちゃった。


むぅ。

「だが、優は黒髪で短いでござる。どうするでござるか?」

「んー…」

「それならお任せください、すべてこちらがご用意いたします。」


「んん?」




ご用意いたします。
言葉通り、すべてそろっていた。

場所はとても日本にいるようには思えない洋風な…お城…までは行かないけど、近しい。


「うっわぁ…これ、私大丈夫かなぁ。」


専用のメイクさんに、ウィッグをつけてもらい、メイクを施してもらえればばっちり。


「とても綺麗ですわ、優様。」

「ありがとう、ございます。」


着慣れないドレスを着て、ドアをあければ、皆、服を着替えててまるで別世界に迷い込んだようだった。


「優、なのか?」

「すっげぇぜ、馬子にも衣装ってのはこの事だな。」

「………」


弥彦、左之助、剣心、と順番に口を開く。
左之助後で殴る。

剣心は口を開いたまま間抜け面。

「剣心?」

「あ、…とても、綺麗でござる。」


いきなりそう言われ、長い髪を掬い微笑みかけられる。

「っ……あ、ありがとう。」


そういう剣心だって、いつもと違う服で、髪型も変えて…


「こほん、さぁ姫、パーティーまで時間がありません。貴方には王女として振る舞っていただかなくてはなりませんから、私がみっちり教えて差し上げます。」

「は、ははは…。」


そして、ウィルさんによる王女マナー講座が開かれた。


あ、なんか赤い髪って剣心と同じだね。
あんまり関係ない話だけど。
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