ただ君と、甘い幻に浸る
□趣味炸裂。
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今日は薫ちゃんは出稽古、弥彦は仕事だし…
左之助はまだ来てない。
剣心は…
……歌いながら洗濯物ほして、今日も真っ白でござるーなんて言ってる。
要するに、暇なわけだ。
だって家事は剣心がやっちゃったし。
「よいしょ、おろ?優、やけに間抜けな顔」
「あぁ…そゆこと言う?わかった。ちょっと逆刃刀貸せ。」
うっわ腹立つ。
自分が格好いいからってこのやろう。
仮にも恋人に対してなんつーことを言う奴だ。
「いやっ、そういうつもりでは…っ」
「じゃあどういうつもりで間抜け面つったのかな?ん?ん?」
ずもも〜っと、迫っていたら、剣心が後ろのたらいに躓いて思いっきりぶつかった。
痛い…
「っ、たた…大丈夫でござるか?」
「なんとか…頭打ったけど…………ん?」
打った頭を触って違和感。
私こんなに髪長かったっけ?
あと…なんかすーすーする。
「優…?」
「…っ?!」
「せ、拙者が……いる…のか?」
私が目の前にいる…
え?刀なんて差してた?…ま、まさかっ!
***
「入れ替わった?!」
「でござる。」
「みたい。」
夜、剣心お手製のご飯を食べながら薫ちゃんに説明すると、恋人だから大丈夫よ、なんて言い放ちました。
他人事だと思ってっ!
「でも戻らないと不便よね…明日恵さんに相談してみましょう。」
「そうだね。明日剣心と行ってくる。」
ご馳走様とつげ、立ち上がると、剣心(姿は私)に引っ張られた。
「何?」
「どこにいくでござるか?」
「…き き た い?」
実は私、この状況を結構楽しんでいたりする。
だから、お風呂はちょっとだけ楽しみ。
「だ、駄目でござるーっ!!」
「清潔にしなきゃ駄目でござるよ、剣心殿?」
口真似なんかしてみたりして。
楽しすぎるっ…!
「いってっきまーす!」
「剣心、諦めたほうがいいわよ。」
「うっ…うっ…」
赤毛で、チビで、ぱっと見女に見えなくもない剣心。
細いし…
でも、男の子だったんだねぇ〜。
っふっふっふ…
「優!やはり風呂はっ…」
「入るな変態。」
「おろっ?!」
さすがに私の姿だから桶を投げたりはしないけどね。
「せ、っせめて布を巻いて…っ」
「やだ。」
「優ーっ…」
「剣心てさ、体の割には……」
「みっ、見たのでござるか?!」
「以外に…」
湯気が立つなか、裸の私と真っ赤な剣心。
体が違うからちょっと面白いけどね。
「立派なものをお持ちで。」
「っ…?!」
あ、沈んだ。
なんかぶつぶつ言ってる…
ていうか寒い。
閉めて、と言おうとしたら左之助の声が響く。
「……んっふっふっふ。」
「もうこれ以上拙者で遊ぶのはやめっ」
「左之ぉーちょっと来てほしいでござる!」
剣心の口を押さえて中に引きづりこみ湯船に放り込む。
「し…死ぬかと思った…!」
「死なない死なない。」
「どしたぁ剣心、ってどわ?!おまっお前等何やって…」
そのうちに左之助が入ってきて、剣心がゼーゼー言ってるうちに話し始める。
「気にするな左之。」
「気にするから!」
「それよりも…」
「な、なんだよ…」
「たまには背中でも流してやるでござるよ。」
「「はぁ?!」」
剣心と左之助が綺麗にハモり、剣心が湯船から出る。
「優、風邪を引くから早く着替えるでござる。」
「え、ちょっ…おろ…っ」
ぽいっと剣心を放り出して戸を閉める。
「優っておろ、なんて言う奴だっけか?」
「拙者のが移ったのでござろう、ほら、服を脱いで。」
「おまっそんな奴だったか?!」
「拙者は拙者。寒いから早く脱げ。」
「ひっ…剣心やめっ…アッー!」
充分に楽しませていただきました。
翌朝。
廊下で剣心とおでこごっちんしちゃったら元に戻ったというありきたりなオチ。
そして左之助含み朝ご飯を食べていた。
「な、なぁ剣心…」
「なんだ、左之。」
「お前……あっちもいけるのか…?」
「ぶーっ…!!さ、左之?!」
左之助の爆弾発言に薫ちゃんはじっと聞き耳を立て、私は剣心の視線を感じるものの無視。
「昨日は驚いたぜ。」
「…昨日?」
「風呂でよ、いきなり服脱げ、なんて。」
「ぶっ…」
「剣心汚いよー」
全てを知ってる私はシラを通す。
剣心は意味わからないと、私に助けを求めるけど、無視します。
「さ、左之っ…昨日の事は忘れっ…」
「剣心、昨日左之助と何かあったの?」
「ちがっ…拙者は…」
やばい、もうこらえきれないっ…
「あっははははは!!もー剣心さいっこー!!ごめんね左之助。」
「いいけどよ、楽しいか?」
「すっごい楽しかった!」
「な、何が…何なんでござるか?」
「昨日ね、服脱がせて背中洗ってる時に全部話したの。で、剣心を驚かせようと思って…」
鳩が豆鉄砲くらったような顔して私と左之助を見る剣心。
「せ…拙者は…安心した…優、後で部屋に来るでござるよ。」
あ、やばいこれは逃げないと殺られる。
「さーのすけ!後よろしくっ!」
「は、ちょっ…!」
まぁ剣心からは逃げきれなかったけどね。
end