ただ君と、甘い幻に浸る

□君を抱きしめて
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薫ちゃんに頼まれた買い物を済ませて帰る途中、いきなりの大雨。

近くの店に近寄って雨宿りしてたんだけど…

またもや、ガラの悪い連中に捕まってしまった。

「水に濡れた女はいいねぇ。」


「さわんないで。」


「こりゃいい。威勢の強い女は好きだぜ。」


「はい?!ちょっ離して!!」


かなりガタイもでかくて到底叶いそうもない…っ

武器になりそうな野菜はないし…

土砂降りで誰も通らない…


ぜ、絶体絶命?!


「持ち帰り決定っとくらぁ。」


「や、やだやだやだ!!離せばか!!」



そのまま男に担がれて雨の中どこかへ連れて行かれた。



怖い…


剣心っ…!!






****


「剣心!大変よ!優が男に攫われたらしいの!」

「優殿が?!」

「裏通りの小屋に行くのを弥彦がみたらしいわっ!」

「…っ優殿…!」

「優に何かあったら…っ…」

「薫殿…大丈夫、絶対に拙者が助け出すでござるよ。」


優殿、今助けに行く!




*****



「う…ん…」


「起きたか?」


気がついた時には両手両足を縛られていた。


痣になったらどうするのさ…


「おい、」

「何よ。」


「濡れてたからさらし、解いといたぜ。」

「……なっ!こ、このっ…」


言われてみればなんかすーすーするっ…

信じられないっ!


「男に抱かれたことねぇだろ。」

「あんたには関係ないでしょ!」

「ふ、……汚れたお前をみたら、どんな顔するかなぁ?」

もしかして…
剣心達と暮らしていることを知って…

わざと私を…


「今から楽しみだぜ。」

「やっ…やめ…っ」


体中を手が…

男がさわる。

気持ち悪いっ…
気持ち悪いっ!


剣心、剣心っ…


けん…しん…



「剣心っ…!!」

「黙れ。」

「っぐ…女殴る…なんて最低な奴…っ」


びりびりと破られる音がする。

どうしようっ…



「そこまでだ。今すぐ視界から消え失せろ。さもなくば…」


「さもなくば、なんだ?」


「殺す。」


「だ、駄目っ!!剣心!」


「俺を本気で怒らせるな。」


俺…?

殺す…?


なんでっ…なんで…


私がっ私が捕まったから…



「へへっおもしれぇ、やれるもんならやってみやがれ!」


「駄目ぇぇぇっっ――!!!」


「っ…優、殿…?」

「不殺、なんでしょ、絶対に…駄目…」


「あ…拙者は…」


「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!」


「あっ…い…っつ!」

思いっきりとばされて意識が…

駄目、今気を失うわけにはいかない!


「貴様っ…」

「おらこいよ、緋村…っぐ、あ…」


「視界から消え失せろと言ったはずだ。」


「けん…し、…ん」


「優殿っ…!すまないっ…大丈夫で……っ優、殿。」

殴られた後、破られた着物。
こんな姿、見られたくなかったな…

「拙者がもっと早く来ていればっ…!」


ぎゅっと抱きしめられて、暖かい…と思った。

そして、涙が止まらなかった。

そうか、怖かったのは…男だったんだ…

「ひっ…ぅ…けんしっ…」

「もう、大丈夫でござる…」

「うっ…、ヒッ…」

体のふるえが止まらなくて…

結局剣心の着物を上にかぶって、帰った。



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