ただ君と、甘い幻に浸る
□君を抱きしめて
1ページ/2ページ
薫ちゃんに頼まれた買い物を済ませて帰る途中、いきなりの大雨。
近くの店に近寄って雨宿りしてたんだけど…
またもや、ガラの悪い連中に捕まってしまった。
「水に濡れた女はいいねぇ。」
「さわんないで。」
「こりゃいい。威勢の強い女は好きだぜ。」
「はい?!ちょっ離して!!」
かなりガタイもでかくて到底叶いそうもない…っ
武器になりそうな野菜はないし…
土砂降りで誰も通らない…
ぜ、絶体絶命?!
「持ち帰り決定っとくらぁ。」
「や、やだやだやだ!!離せばか!!」
そのまま男に担がれて雨の中どこかへ連れて行かれた。
怖い…
剣心っ…!!
****
「剣心!大変よ!優が男に攫われたらしいの!」
「優殿が?!」
「裏通りの小屋に行くのを弥彦がみたらしいわっ!」
「…っ優殿…!」
「優に何かあったら…っ…」
「薫殿…大丈夫、絶対に拙者が助け出すでござるよ。」
優殿、今助けに行く!
*****
「う…ん…」
「起きたか?」
気がついた時には両手両足を縛られていた。
痣になったらどうするのさ…
「おい、」
「何よ。」
「濡れてたからさらし、解いといたぜ。」
「……なっ!こ、このっ…」
言われてみればなんかすーすーするっ…
信じられないっ!
「男に抱かれたことねぇだろ。」
「あんたには関係ないでしょ!」
「ふ、……汚れたお前をみたら、どんな顔するかなぁ?」
もしかして…
剣心達と暮らしていることを知って…
わざと私を…
「今から楽しみだぜ。」
「やっ…やめ…っ」
体中を手が…
男がさわる。
気持ち悪いっ…
気持ち悪いっ!
剣心、剣心っ…
けん…しん…
「剣心っ…!!」
「黙れ。」
「っぐ…女殴る…なんて最低な奴…っ」
びりびりと破られる音がする。
どうしようっ…
「そこまでだ。今すぐ視界から消え失せろ。さもなくば…」
「さもなくば、なんだ?」
「殺す。」
「だ、駄目っ!!剣心!」
「俺を本気で怒らせるな。」
俺…?
殺す…?
なんでっ…なんで…
私がっ私が捕まったから…
「へへっおもしれぇ、やれるもんならやってみやがれ!」
「駄目ぇぇぇっっ――!!!」
「っ…優、殿…?」
「不殺、なんでしょ、絶対に…駄目…」
「あ…拙者は…」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!」
「あっ…い…っつ!」
思いっきりとばされて意識が…
駄目、今気を失うわけにはいかない!
「貴様っ…」
「おらこいよ、緋村…っぐ、あ…」
「視界から消え失せろと言ったはずだ。」
「けん…し、…ん」
「優殿っ…!すまないっ…大丈夫で……っ優、殿。」
殴られた後、破られた着物。
こんな姿、見られたくなかったな…
「拙者がもっと早く来ていればっ…!」
ぎゅっと抱きしめられて、暖かい…と思った。
そして、涙が止まらなかった。
そうか、怖かったのは…男だったんだ…
「ひっ…ぅ…けんしっ…」
「もう、大丈夫でござる…」
「うっ…、ヒッ…」
体のふるえが止まらなくて…
結局剣心の着物を上にかぶって、帰った。