ただ君と、甘い幻に浸る

□暖かい日は何もせず
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今日も平和なことで何より。



「あったかーい…」



縁側でのんびりまったりくつろいでいたら、不意に声をかけられた。


「何してるでござるか?優殿。」


おろ?と目を丸くしてこっちに歩いてくるのは間違いなく剣心。

手には野菜やら持っていて、そう言えば薫ちゃんに買い物行かされてたんだっけ、と思い出す。


「日向ぼっこ。今日天気いいからさ、ゆったり寛ぎタイムですよ。」


「た、いむ?」


「あ、時間って意味だよ。」


「そうでござるか。」



いけないいけない。

ここは…
私の世界じゃないんだった。


まさか、こんなことが現実にあるなんて普通思わないよね?!
学校から帰ってる最中に車に跳ねられたと思ったらここにいたんだもん、ビックリしたよ。



所謂トリップ、なんて非現実的な言葉だ…



「…殿、……殿。」



あーぁ…溜まってたアニメ見てないしもうすぐDVDの発売日だったのになぁ…


「優殿〜!」



「わわっ?!何?!」



ふぅ、とため息をついたら耳元でいきなりの大声。

鼓膜破れるっつーの!!


「漸くこっちを向いてくれたでござる。」


「な、なに?」


「拙者も、するでござるよ。」


その叫んだ犯人、剣心はにっこり笑ってそういった。


んん?


「何をするの?っま、まさか?!きゃーっ剣心のえっちー!昼間から女の子を襲うなんて!!」


ないと思ったけどとりあえず言ってみる。


お、顔真っ赤にして焦ってるーっ!


「えぇ?!い、いやちがっ…お、おろ…」


「ふっあはははは!!!」



その様子が可笑しくて堪えきれず笑ってしまった。



「冗談だよ!で、どうしたいって?」


「…優殿は、少々意地悪でござるな。拙者も一緒に日向ぼっこしたいと言ったのでござるよ。」


「なんだつまらん。」


「?!」


「あ、聞こえちゃったか。まぁまぁ、どうぞ座りなさいな。」

「おろろ…」



少し警戒されてる気もするけどまぁいいや。

明日も剣心で遊ぼう。

よし。




「剣心、ほら、見てみて!」


「何でござるか?」


ぴっと指さした先を見つめる剣心、その隙を突いてちゅっと口づけた。


「っ…優、殿…」


「へへっ、一本もーらった!」


「全く、叶わないでござるよ…優殿…」


「ん……」



剣心に抱きしめられて接吻されるまで2秒。

顔を赤くして焦るまで10秒。


笑いあうまで……




やっぱり、私ここにこれて幸せだよ。



end


剣心におろおろ言わせたかっただけ(笑)


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