ただ君と、甘い幻に浸る
□戸惑う、それは、愛しい
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「剣心。」
「どうした?優。」
梅雨も明けて、本格的な夏が目前に近づいてきた。
そんなある日の晩。
優が寝巻に着替えて、拙者の部屋にやってきた。
「寝れない…」
暑くて、というわけではなさそうで、手招きする。
素直に近づいてきた優を布団に招き入れ、腕を伸ばす。
「頭、乗せていいの?」
「あぁ、痺れないから、大丈夫でござるよ。」
「ん…ありがとう」
頭を乗せて、抱き着く優の腰に腕を乗せて、更に引き寄せる。
「暑くないでござるか…?」
必然的に、耳元が近くなって、小さく囁くと、優がみじろいだ。
「んっ…だい、じょうぶ…」
その反応が可愛くて、思わずくすぐった。
「っん…け、んしん…?」
月明かりで照らされた顔は、ほんのり赤くて、理性が消されていく。
「好き、でござる…」
「私も…だよ…」
小さく笑った唇に重ねれば、更に体が密着しているのだから、寝巻の裾から手をいれて、足を撫でてしまうのは、仕方ないでござろう…?
「っあ…ん」
ほら、また、拙者の理性を削られる。
優は、拙者を無意識に困らせる。
それは無邪気に誰かと笑っているとき、艶やかに見つめられたとき、不意に唇から漏れた吐息を聞いてしまったとき。
あげれば、切りがない。
「けん、しん…」
「可愛い…思わず、触りたくなるでござるよ…」
「や、だぁ…も、」
くすくすと笑いながら、柔らかな胸を触る。
綺麗な体に触れるのは、すごく、いけないことのようで…
興奮を高めた。
「優…」
「あっ、…っん、やっ」
鎖骨に口づけ、そのままゆっくりと唇をずらす。
膨らみにたどり着いて、舐めれば、艶やかな嬌声が拙者に届く。
「ふ、ぁ…っあっ、ん」
そのまま手を下に滑らせて、下着の上からなぞれば、更になまめかしい声が上がる。
「あ、ぁっん…!」
下着を脱がせて、指でなぞればそこは濡れていて、拙者の指を飲み込んだ。
「やっ…は、ぁっう…剣心っ…」
濡れた瞳で見つめられて、喉がなる。
優は、知らない。
拙者が、理性を保ち、優を壊さないようにするのに、どれだけ我慢しているのかを。
だから…困ってしまう。
こんな優を見てしまえば、脆く崩れてしまうから。
「優っ…」
「あ、ぁっ!」
自身を埋めれば、もう理性なんて関係なくて、がむしゃらに腰を動かした。
括っていない緋色の髪が優にかかって、あぁ、繋がっている、と感じてしまう。
近くに、いる。
「ひゃうっ…!あ、ぁっ、ん!」
離したく、ない。
「優、っ、優…!」
「あ、っあ…ああぁあ!!」
「っ…は、ぁ…」
側に、いたい。
「けんしん…」
「…ん?」
「愛してる…」
「っ…!」
ほら、また…
優の想いと、笑顔に、戸惑う。
触れたい、欲求が、止まらなくなる。
「けんしん…?あ、んっ…もう…」
それを、受け入れてくれる優に、もう一度口づけて…
今度は、柔らかく、包んだ。
戸惑いは、うれしい困惑。
End