葩、紅に燃ゆ

□光来
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(注 少々グロ表現あり




そこはイタリアの地

新月の闇が広がる深い森の中



少女は今宵も"狩り"をしていた




















『クスクス、お前らそれでもヒットマンかよ』





嘲笑う声

少女の目の前には血にまみれた男が2人いた





「彼岸‥花の衣に、深紅の刀‥‥!?」

「貴様‥‥まさか‥!」





途切れ途切れにそれぞれは力を振り絞って言葉を繋ぐ

そして、










「「紅葩‥‥!!」」










2人は恐怖に満ちた声で唱えた

少女はその響きに口角を上げ、静かに応える










『Si.Il mio nome una scarlatto amarilli di grappolo(イエス.我が名は‥‥紅葩)』











そしてそう云うのと同時に

真っ赤な真っ赤な日本刀を振り下ろす










途端、‥‥ズシャッ!!










一瞬で男たちは切り刻まれ、それはすでに原形を留めてなく

人間と呼ぶには程遠かった



悲鳴すらあげられずバラバラにされた肉塊から

まだ生暖かい血が止め処なく広がる



それはつい数刻前まで生きていたという証

そう、生きていた

























『‥‥つまんない』





再び少女から聞こえた声は失望に染まっていた

先程まで嘲笑っていた口元も今では歪んでいる



でも少女は仕方ないといった風に散らばった肉塊を拾い集めて袋に詰めた

それから刀を鞘へ戻し、走り出した





‥‥闇はまだ、始まったばかりである

























*数時間後*



私はとあるバーにいた

今ここに居るのは私とバーテンダーのみ





『ブラッドオレンジ。チェリー付きで。それと‥‥取引を』





そういうとバーテンダーはニコリと笑ってグラスに液体を注いでく

そしてそれを私に渡した後で、










「汝‥‥名を」





その問いに私は





『‥‥今更?朋友だろ』










静かに笑って応えた



しばらくお互い顔だけを笑わせながら見つめ合ってると

バーテンダーは参ったというように喋り出した

もちろん、それが彼の素だ





「ハハ、わりーなお嬢。でもこれ仕事だから義務用語。ちなみに俺は上司ね☆」

『ハハ、☆がウザイよ』





それをスイッチに私も素を零す

彼の笑みが移ったように大きく笑い出した










このバーテンダーの名はスーリオ

この裏社会に入って4年、ずっと世話になっている唯一無二の友人

とは言っても8歳も年上で上司も同然なんだけどさ










『ま、仕事なのは確かだし仕方ないか。‥‥紅葩だ』

「うん、知ってる☆」










‥‥#、でもね、一度もね

こいつを上司だと思ったことはないんだ





だってとことんムカつくヤローだから☆
(やべ、☆移った#)





「はいお嬢、その殺気と刀は仕舞おうね☆」

『ボソ) いつか絶対殺す‥‥』

「何か言った?」

『ううん、なーんにも』





愛嬌たっぷりに云うとスーリオは満足げに私の頭を撫でた

その笑顔がこれまたウザイ



まぁそれがスーリオという人間なのだから仕方ないんだけどね





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