葩、紅に燃ゆ

□温々
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(ツナ視点)






「突然だが転入生紹介するぞ。イタリアから留学してきた……」

『彼岸紅音でっす、よろしく!』

「「!?」」

「紅音ーっ!?」






朝っぱらから俺の声が教室中に響き渡るのだった




















「紅音!なんで学校に!?」

『よくぞ聞いてくれた我が主様!』






聞くも涙語るも涙の物語があったのさ!


そう悔しそうにぐっと拳を握る紅音

てかあ、主様ーっ!?

俺そんなのになった覚えありませんがっ






『それは昨日の出来事。……つか全てが昨日の出来事なんだけどさ』






俺達と別れた後、紅音はリボーンに訊かれたらしい










「お前行くとこあるのか?」

『はは、愚問だね♪……あるわけねぇですわ』

「ならツナん家来るか?居候大歓迎だぞ」

『萩M方こそ沢田家の居候だよね!?』







って俺の家!?

リボーンの奴何さらっと誘ってんだよ居候のくせに!


でも昨日紅音が来なかったってことは断ったってことかな

まぁ来たら来たで俺も母さんも歓迎はするけどさ



で、俺の想像通り紅音は断ったらしい






「じゃあ……リボーンじゃないけど寝泊まりは?」

『なんか勝手にディーノに手配されてた』

「ディーノさんが……ところでディーノさんは?」






そういえば昨日紅音が一緒に来たって言ってたのに結局会えなかったな






『あぁ、あのへなちょこなら帰ったよイタリアに』

「もう!?」






それって早過ぎない!?

昨日着いたばっかなんじゃないの!?


でもなんでも調べ事が出来たとかで急遽帰っちゃったらしい

……残念だな


とりあえず手紙はもらったとか

紅音がそれを読み上げる










《紅音へ

突然帰って悪い。ちょっと調べることが出来たもんでな

とりあえずお前が日本で暮らす家の手配はしといたぜ

生活費とかは払ってやるから心配すん な

後、横暴だが紅音には明日から学校に通ってもらうぜ

今まで学校なんて行ったことなかっただろうし丁度いい機会だと思ってな

手続きはリボーンに任せてあるから

じゃあ初めてのスクールライフを存分に味わえよ》










『ってさ……余計なお世話だと思わない!?』

「え……あぁ、うん?どーだろ」

『そんなこんなで私は転入してきたわけさ』






うんうん、と頷きながら語る紅音

すると山本が訊いた






「彼岸学校行ったことねぇのか?」






確かに……今のディーノさんの手紙によると

"初めてのスクールライフ" って






『ないよ。箱入り娘だったからね。勉強とか全部屋敷でやってたから』

「……屋敷?」

『私こうみえても昔はとあるファミリーのボスの娘でお嬢様だったのさ』

「買{スの娘!?」






それってまさにマフィア!!

わかってたことだけど改めて紅音ってそっちの人間なんだって思わされたよ


にしてもお嬢様って……言っちゃ悪いけど紅音ってそんな感じの女の子じゃ……ι

いや、そんなこと少しでも口にしたら……毒舌が飛ぶ!!






と一人ブンブンと首を振る俺

獄寺くんは……まっすぐ紅音を睨みながら言った






「昔はってどういう意味だよ」






昔は?あ……そっか

昔はってことは過去形なんだ


てか獄寺くんまだ紅音のこと警戒してる感じだなι

紅音本人も『警戒されてんなー』とか笑いながら






笑いながら、空笑(ワラ)いながら、嘲笑(ワラ)いながら

……云った















『潰されたんだよ』

「え……」

『私の家族、ファミリーは皆殺し。私は唯一の……生き残り』

「「「!!」」」















皆……殺し、そんな……そんなことって!!

でも紅音は……ずっと、ニコニコと笑い続けてた






『そんなに驚くことかな。弱いファミリーの末路ってそんなもんだよ』






その瞳には……何も映ってない

























「そういやなー」

『なに』

「彼岸って日本人じゃねーよな?」






ちょっとした沈黙を破ったのは……山本

なんでそんな質問、紅音はどこからどー見ても……






『れっきとしたイタリア人だけど』

「でも名字が日本人っぽいのな」






あ……確かに、てか彼岸って日本の名字だよね?






『あぁそれか、偽物だよ』

「偽……?」

『だってここジャッポーネだよ!どうせなら日本人っぽい名前名乗りたいじゃん!』

「名乗りたいって……ι」






聞いた話、紅音はそうとうな日本好きらしい

日本武道とか舞踊とか侍とか着物とか


とりあえず……江戸だね!!ι















『それに……あな……し』















「?」






その言葉はよく聞き取れなかったけど……

紅音はどこか遠くを見 つめながら何かを呟いた















『あながち……偽物でもないし』






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