その他

□S・B〜スペシャル・バースデー〜
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「ハァアー・・・」

最近、オレの口から出るのは溜め息ばかり
それは大好きな人の大好きな料理が食べられないから… 


性懲りもなく、今日もオレは
朝一番に温室の片隅にあるキッチンの目の前に来ていた。

【宙、立ち入り禁止!!!】

やはりまだこの張り紙がドアに貼ってあったか…
最近、明はキッチンに閉じこもって何かを熱心に作っている
ティータイムや昼食も
光や彗がキッチンから明に食事を預かり持って来ている
たしかに料理はおいしい
でもそれとこれとは違うんだ!!
一度だけ、光に聞いた
夏休みの間ずっとずっと、ずーっと楽しみにしていたのに、
いとも簡単におあずけにされたからな

《回想IN》
「なぁ〜光ぃ・・・明のことなんか知ってるか??」

するとあからさまにギクッとする

「い、いや・・・私は何も知らんぞ」

あたふたしながらそう答えられても…、
よし。奥の手だ…!

「頼れんのは光だけなんだよ〜…」
「う”っっ」

ふふ…光はこの手に弱いからな
悪いと思うけど明のことが気になるからしょうがない。
スマン、と心の中で手を合わせる
さぁ、吐け!!!(笑

「明はだな…「宙がまた何か怒らすようなこと言ったからじゃないですか?」
「「あ、滝島/彗」」
「気になるのなら本人に聞くのが一番でしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・」

《回想終わり》
うぅむ…やっぱり俺なんか悪いこと言ったのか?
自分でちゃんと自覚しているが、俺は結構無神経なところがあるから
気づかないうちに
明を傷つけてたり怒らせてるのがしょっちゅうのこと
今回も例外ではないのだろうか…
つっても、いつのことだ?どの言葉?どの行動?
…ってこんなことかんがえてる時点でダメなんだよな

「ハァァーーーーッ」

何度目がわからないため息を盛大につく
中にいる明にはこれが聞こえているんだろうか?

ピロリン〜♪

KYな軽やかなメロディが流れる
「あ、メール…母さんからか。えっと…?」
受信ボックスからメールを開く

【宙、速攻で本宅に来なさい
 どうせ授業にも出てないんでしょ、仕事手伝いなさい】

また無駄なため息が出る
そんな暇では無いというのに
しかしあの女(ヒト)に逆らうなんてことできるわけがない…

「はぁ、行くか。」

そう呟いてからから身を翻し、マイバイクのもとへ向かう
バタン、と閉めた温室のドアの向こうで6つの顔が
怪しい笑みを浮かべたのに、俺は気づきもしなかった




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