その他

□待ち人
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今日は仲の良いいつものメンバーで彗君の会社が経営してる遊園地に来ている
桜と山本君は相変わらず桜が猛烈で、山本君がたじろいている
でも最初会った頃よりはずいぶんと柔らかくなったな
彗君と光ちゃんは相変わらずだ。遊園地な事もあって光ちゃんのテンションが高い。
彗君も幸せそうに笑っている
彼の昔の無表情・無関心さからは想像できない

辻君とフィンく・・・いや、フィンちゃんは両想いになったみたいだな
まさかフィンが『女』だったということには驚いたけれど。
でも、二人が幸せになってくれてよかった。
以前二人には悪いことをしたからな。
明ちゃんとあの馬鹿は・・・喧嘩してる?あの馬鹿がまた何かして怒っているのだろうか
でもなんだかんだで楽しそうだ
本当に、本当に良かった明ちゃんが笑ってくれて・・・
なんて、周りに悪魔と言われる僕が他人の幸せを喜べるだなんて…きっと彼女のおかげだな

・・・って!!
彼女、芽ちゃんは何故まだ来ない!?
さっきまでは全員で行動してたからいいが、みんなカップル同士で行ってしまったから僕は当然一人になる。
辻君はすぐ来ると行っていたけど遅すぎやしないか?
とりあえず立っているのは疲れたから、そばにあるベンチに座る。

「ハアァ・・・」

なんていうか、つまらない。
綺麗に光っているはずのイルミネーションも霞んで見え、人々の笑い声も遠く聞こえる
こういうのを『寂しい』というのだろうな
・・・辛い、な
そう考えながらまた大きくため息をつくと、

「どうしたの?」

聞き慣れない・・・でも、とても愛おしい声がした。
その瞬間、世界がパァッと明るくなった・・・ような気がした。

「喋るなと言ってるだろう」

照れ隠しをしたつもりだったがまずったか?
でも芽ちゃんは気にせずにニコッと笑いバッグからボードを出した

『だって、早く気付いて欲しかったから♪』

ボードに書く時間も惜しかったってわけか

「どうして遅くなったの?」

柔らかい口調を意識して訊く

『ちょっとレッスン長引いちゃって・・・あと、ここ広いから迷っちゃって。ごめんね?』

しゅんとした表情でボードを見せる。

「そう」

最近、芽ちゃんは歌手になるために本格的レッスンをしてる
・・・ならしょうがないか

【芽ちゃんがたくさんの人を感動させられる歌が歌えるように】

あの石に願ったのは他でもない、僕。
それに、歌っている芽ちゃんは生き生きとしていて好きなんだ。

『どこか行く?』

不意に芽ちゃんが聞いてきた。
そう聞いておきながら行きたいと思っているのはバレバレ。

「いいよ。僕のこと待たせた分、思い切り楽しませてもらおうか・・・?」

こういう自分も彼女と遊びたいと思っているのがバレバレなんだろうな。

「じゃあ行こうか」

ベンチから立ち上がり、芽ちゃんを振り返って左手を差し出す。

「うん!!」

喋って欲しくないのもあったけれど、それよりも『言葉』で答えてくれたのが嬉しかった
そして彼女は、右手を重ねた
待つのは嫌いだけど、その分楽しみが増えるから、待つのも悪くはないかもな・・・


ーさぁ!まずはどこへ行こうか!!






END
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