その他
□花冠
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ヒック、ヒック、、、
オレの前に涙を流している小さな女の子がいる。
彼女の名前は東堂明。
航空会社の社長令嬢で超お嬢様。
彼女が泣いている理由、それはきっと、幼馴染の八尋関係のことだろう。
彼は、彼女を昔から束縛して彼女に辛い思いをさせてたらしい。
それでオレは今、彼女を慰めようと
一輪の花を持って彼女の泣くベンチの横の柱の影に立っている。
彼女に、あんな顔させたくないから・・・
・・・しかし、オレの辞書には女の子を慰めるような言葉なんてない。
この一輪の花だってオレにはどうしようもない。
「どうした?」だなんてアイツには簡単に言えない気がする。
あ、そうだ・・・。
いい考えが思いついてオレはその場から離れた。
―――数分後。
オレは再び、さっきのように明の後ろに立った。
一輪の花の代わりに蓮華の花で作った花冠を持って。
トコトコトコ
一歩ずつ、そっと明に近づいて彼女の真後ろに立つ。
そして、すっと明の頭に花冠を乗せた。
「えっ?!何??」
驚いた声とともに明はこっちを向いた。
そしてオレはお得意の笑顔で
「元気出せよ。笑ってるほうがいいだろ。」
と言った。
すると明は「ありがとう」と最上の笑顔付きでオレにお礼を言った。
その笑顔を見てから『明』が頭から離れない。
でもそれは、また別の話・・・。
END
→あとがき