その他

□マゼンダ色の恋
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マゼンタ色の髪・・・それはあまりにも鮮明で、
頭からも心からも身体からも抜け出せないほどになってる。

――――よかったのか?

音無にはよかったさ、と言ったけど
そんなの、オレの心が崩れないようにするための建前。
『駄目』って言った瞬間にオレの世界が崩壊するのは分かってたんだ。
オレの世界を染めていた鮮やかなマゼンタ色も
いつもとなりで聞こえてたうざいくらいなソプラノ声も
もう近くにはなくて・・・。


アイツの俺を呼ぶ声がした気がしても、
マゼンタ色が視界の端に映って振り向いても
あるのは静寂と虚無感だけで。
・・・なんて女々しい奴なんだよ、オレは。
こんなんじゃアイツに会えたとしても
『この軟弱野郎がぁあああ!!!』ってプロレス技食らうのがオチだろ。
男を磨かねえとな!

ユイ――!
この世界ですべき事を全部終わらせて、
生まれ変わって、ロマンチックにお前と再会して、
ここで言えなかった『好き』と『愛してる』を伝えて、プロポーズして
お前も義母さんも幸せにしてやんよ!
いつかお前の頬も未来もマゼンタ色に染めてやっから!

それまで待ってろ!




END
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