その他

□peace×piece
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レンを先頭にして、俺達一行は
レンの家が経営しているとやらの店に向かっている。
そんな俺は、一行の後ろを歩いていて
ワイワイと騒ぎながら進んでいるレンやホミ、ハンナ、アリー、トムを
ぼんやりと眺めている。
こいつらと地球を救ったんだな…。
なんて、さっきのことが嘘のようで仕方が無い。
まだ子供の俺達や…キアラ達が本当にやったのか?
「地球を救う」だなんて大それたこと…
まぁ、そんなことを思ったって本当の、本当にあったことだ。
嘘だと思ったって現実なんだ。
でも、そんなことよりも心残りなことが俺にはある。
クルッ
振り返ると、まだ後ろ髪を引かれるのか、
壊されているラボを見ながら
後ろ向きに歩いているキアラがいた。

「おい、そんなことしてたら転ぶぞ?」

不安になってそう声をかけると
バッっとこちらを向いた。

「だ、だって…なんか。もうなくなっちゃうんだなーって…」

やっぱり。
こっちを向いているのに視線は泳いでいる。
不安や焦りを悟られるのが
嫌だからなのだろうか。
まぁ、涙声なのは確かだな・・・
相変わらず素直じゃない
あぁ、でもさっきは「大好き」って
素直に言ってくれた。
アレは自惚れて良いのか?
「……結局、」
「え?」

前に向き、歩き出そうとすると、キアラが呟いた。
何かと思い後ろを向くと
タッ、と俺の隣にきて歩き始めた。

「結局ケーキ屋さん行けなかったね」
「ああ、そうだな。」

そう、心残りなこと。
それは結局デートができず終わったこと。

「それにしても、ヘリコプターで来たのは驚いたわよ
 街のみんなもあっけに取られてたわよ?
 それに…その格好。どうしたの、スーツだなんて。」

くすくすと笑いながら聴いてくるキアラ。
そんな些細なことに幸せを感じる。
彼女に会うまでは、人を好きになることが理解できなかった。
でも、今はそんなことが嘘みたいで
彼女にベタ惚れしている。

「いや、初めてのデートなんだし正装した方がいいかと…」
「そんなこと気にしなくていいのに〜」
「それは無理だ!」
「ちょ、無理ってなによ〜!」

いつもの口喧嘩、それがとても楽しい。
キアラを見ると顔を少し赤く染めている。
可愛い。

「まぁ、嬉しかったけど…。
 でも目立つのは嫌!恥ずかしい!」
「あぁ、分かった。」
「もー!笑わないでよ!」
「え、笑ってるか?」

心外だ。
いつのまに笑っていたのだろうか。
アレか、駄々漏れしてたか?
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