φ脳

□Black or White?
1ページ/2ページ


POGとの対決が終わり、ようやく一息ついたかと思えば、新たな敵が現れた。

――オルペウス・オーダー。

神に封じられた、本来人間が持っているべき全能の力を取り戻すとかなんとか言っている彼らは、POGよりも厄介かもしれない。
タマキ先輩やアイリちゃんの心を操ってパズルに挑ませるだなんて、頭おかしいんじゃないの?!
私もみんなと一緒に戦いたい。
なのに、現実は置いてけぼりにされたり、挙げ句の果てには人質状態。

「やっぱり私、邪魔なのかなー」

カイトやギャモン君みたいにパズルが解けたら、キューちゃんみたいに情報面で力になれたら、アナのような柔軟で独特な発想力を持っていたら……なんて考えたらきりがない。
私に出来るのはお菓子作りや石板を割ったりなどの力業と、パズルとは無縁のことばっかりだ。
いつもはそこまで気にならないけど、時々思い出したかのようにひどく不安になる。

私はみんなの、カイトの隣に立っていい存在なのかな…?

はあ、と校舎裏の森で大きな溜め息をつく。
普段から人気のない場所だけど、放課後の今は尚更だ。
ひとりで悩むには最適の場所。

「パズルができるようになりたい
?」
「?!」

突然後ろから聞こえた甘いようなからかうような声にバッと振り向く。
そこにいたのは、あの日――タマキ先輩がオルペウス・オーダーに操られた日――屋上で見た碧眼の少年。

「あっ、アンタはオルペウスオーダーの!一体なんの用よ?!」
「『パズルが出来ないやつは足手まといだ』」
「…っ!!」

睨みながら声を荒げると、彼は口の端を上げて、いつか幼馴染みが口にした言葉を放つ。
それなりにでも私の心に傷を与えた、その言葉を。

「カイトも酷いよねぇ、君は彼をずっとずっと信じてたのに」
「や、やだ…」
「どれだけ遠ざけられても、離れずにいたのにさ」
「やめてよ…っ!」
「最後まで追いかけてばっかりで、結局足枷になってる」
「嫌ぁ!!」

なんでこんなに怯えてるんだろう、私。
でも目の前の彼が無邪気に紡いでいく言葉は確実に、私の心をどんどん抉っていく。
聞きたくない、と耳を両手で塞ぐ。
向かい合っている彼が話しながら距離を縮めてきて、それに合わせて距離を保つために後退ってたら背中が木にぶつかってしまった。

「ねぇ、ノノハさん?」
「やっ!」

もう逃げ場はない、と言うように顔の横に手を置かれる。
現実から目を背けたい一心でギュッと目を瞑ると、顔のすぐ近くに気配を感じた。

「僕たちのところにおいでよ」

そうしたら君の望む力が手に入るよ、
そう囁いたのは天使か悪魔だったのか、私には解らなかった。


END

→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ