φ脳

□早く気付いて!
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近い近い近い!!

多分、今の俺とギャモンの気持ちは全く同じだ。
そんな俺たちの目線の先には、仲間のふたりがきゃっきゃとじゃれているシーン。

「ノノハの肌、もちもち〜」
「あはは!もうっアナ、くすぐったいよぉーっ」

いつもの天才テラスと呼ばれるスペースに置かれている二人掛けのソファ。
そこには、幼なじみ兼俺の(自称)お目付け役の井藤ノノハと、『ダ・ヴィンチ』の称号を持つアナ=グラムが隣り同士で座っている。
アナは身を乗り出しながらぷにぷにとノノハの頬をつついていて、ノノハはくすぐったいのか身を捩っている。

「なにかお手入れしてるの?」
「んー、朝と夜に洗顔してるくらいだけど……あ、よく運動するから汗かいて老廃物とか出ていっちゃうのかも?」
「なるほど〜」
「けど、アナも全然運動しないのに肌きれいだよね」
「えへへ、ありがと〜」

「「?!!!」」

ありがとうの言葉とともに、アナはノノハにぎゅむっと抱き着いた。
それに驚き動揺した俺たちは、ガタタッと向かいのソファから立ち上がる。

「ん?どしたの?カイトにギャモン君」
「すごい怖い顔してるよー?」
「ギャモン君はもともと怖い
顔だけどねー」
「なんだとぉ?!」

ケラケラと笑いながらからかうノノハにギャモンが食い付き、そんなギャモンにまたアナと顔を見合わせて笑うノノハ。
その様子は、見た目だけなら仲のいい女の子同士だけれど片方は紛れもない男、なのだ。
いや、ノノハがいくら力強くて破壊力抜群だからって男だとは言わねぇよ。
……そう。
あの一見のほほんとしたアナの方が男なのだ。
最初はオレもノノハもその容貌に騙されていたけれど、奴はまごうことなく男。
大切なことなので何度でも言う。
アナは男なんだ。
だからノノハ、そう易々と抱き着かれてんじゃねーよ!

「ねーねーノノハ」

ギャモンと二人で怒りの視線を送っていると、それに気付いたのか気付いてないのか、アナはノノハの裾を引っ張ってみせた。
一般的にはキュンとくる仕草なのだろうが、生憎アナは男だ。
それにオレにとっちゃパズルとは違うところのライバルみたいなものなので女に見ることができない。
ノノハは完全に麻痺してるみたいだから厄介だけど。

「なあに?」
「アナ、ノノハに絵のモデルして欲しいんだけど〜、いい?」
「もちろんだよー

「わーっいいのぉ?!えっと、ヌードなんだけどね…」

「「ちょっと待ったーーーっ!!!」」

ニコニコとアナの要望を受け入れようとするノノハに、オレとギャモンは全力で待ったを掛けた。

(男に見えないからって無防備すぎだ!)


END

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