短編

□りんごちゃん
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とある学校の帰り道



「名無しさんちゃ〜ん」

『ムツミさん!!』

「その名前で呼ばないでって」


ムツミと呼ばれた青年は人差し指を名無しさんの唇に付け、し〜っと言う仕草を見せた。



『あっ//ごめんなさい、つい癖で;』

「いいよ、これからは気を付けてね?」

『はい!!』



誰かに聞かれていないかと心配しキョロキョロと周りを見渡す名無しさんをみて青年はクスリと笑う。


『でも先輩がムツミって、私知れて感動です!!』

「名無しさんちゃんだけだからね?」


青年はそう言うとニヤッと微笑み名無しさんの耳元で呟いた。


名無しさんは顔を真っ赤にさせ帰りましょ、と慌てて足を進めた。


そんな名無しさんを見てまた青年はクスリと笑う。


「それにしてもいつ名前で呼んでくれるの?いつもムツミムツミって」


青年はムツミに嫉妬しちゃう、といいながら名無しさんの肩を掴み向き合うようにする。

 
名無しさんの顔が再び真っ赤になるのを見て、してやったりという笑みを浮かべる。


『//っからかわないでください!!』


「ごめんごめん。可愛くて」


何の恥じらいも無しに言ってのける青年に名無しさんは真っ赤な顔をさらに真っ赤にさせた。


『ッ――私先に帰りますからねっ!!』


名無しさんはそう言うとスタスタと歩きだした。

青年は少し笑うと早足で後を追いかける。


「そんなに怒らないでよ。君が真っ赤になるのがいけないんだよ、りんごちゃん?」


試すかのような悪戯めいた笑顔に名無しさんはもう知らないとばかりに見ることなく進んでいく。


『りんごちゃんって止めて下さい!』

「じゃあムツミって呼ばないで?」

『気を付けます!!』

「じゃあ名前で呼んで?名無しさん」

『//……サ、ブロー…先輩』



「うん、まぁ満足!」



そう後も同じような会話を続けながら帰宅への道を2人で歩いて行った。





りんごちゃん



(可愛い)
(っ…フン)
(あれ?赤くならない)
(もうなれました!!)
(ちぇ、つまんない)
(………;)


FIN.

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