カードが導く未来
□TURN2
2ページ/8ページ
「わりぃ桜!ホントごめん!」
入学式終了後、いつの間にか桜の肩にもたれて寝ていた十代は、桜に謝罪していた
『いいわよ。ちょっと驚いただけだから…』
「そうか?でも本当に悪かったな」
反省の態度を見せる十代に、桜は笑顔で許した
[私は納得しないわよ!不真面目な上に、なんてデリカシーのない!]
『…ガール』
十代のことがよほど気に入らないのか、ガールはプンプンと怒っている
桜はそんなガールを制し、十代と翔と共に外に向かって歩く
「でも十代くん気をつけた方がいいよ。桜さんにもたれて寝ていたから、他の人達からだいぶ睨まれていたよ」
「そうなのか?」
「だって月坂桜さんだよ?デュエルクイーンの!全デュエリストの憧れの!!その桜さんにもたれて寝れるなんて、恋人でもない限り無理だよ〜」
桜について熱弁する翔
桜は苦笑いしながら2人を見る
『私はそんなに大したことないよ。それから、私のことをデュエルクイーンではなく、普通の同級生として接してくれないかな?』
「ん?何でだ?」
桜からのお願いに、十代と翔は頭に?を浮かべる
『あまり、特別扱いされたくなくて…伝説の称号によって、みんな私に近寄りがたく感じるみたいなの。でも2人、特に十代くんは私に親しげに話してくれたよね?2人は、アカデミアでの最初の友だちなの。だから、上下なんて関係なしに、仲良くしたいの』
桜の話を2人は静かに聞いていたが、十代はニッと笑って桜を見る
「難しいことはよく分かんねぇけど、要は1人のデュエリストとして見て欲しいってことだろ?」
『う、うん…』
難しいことは分からないと言いながらも、十代は大切なことは理解していた
「んなの簡単じゃねぇか!デュエリストに上下はない!友だちとして、これからよろしくな、桜!」
十代は明るい笑顔を向け、桜に握手を求める
『うん!よろしくね!』
十代につられて桜も笑顔になり、握手を交わす
そして桜は、翔に目を向け、手を差し出す
「翔くんも、よろしくね」
「は、はい!///(桜さんと握手出来るなんて、夢のようだ〜)」
翔は、桜と握手しながら幸せを噛み締めていた
「ところで、この後どうするんだっけ?」
「寮に行くみたいだよ?」
『地図がPDA(生徒手帳)にあるから、見てみない?』
3人は学園前の石碑に座り、PDAを開く
ピンポンパンポ〜ン♪
〈新入生の月坂さん。〉
突然アナウンスで名前を呼ばれ、桜はPDAから顔を上げる
〈お話があるので、校長室に来てください。繰り返します…〉
『(校長室?話って、何かな?…)ごめんね、2人とも。校長室に呼ばれたから行ってくるね』
呼び出されることを疑問に思いつつ、桜は十代と翔に声をかける
「校長室に?桜、何かしたのか?」
『えっ!?そんな覚えないんだけど…』
[失礼ね!桜が問題起こすわけないでしょ!]
[クリクリ〜!!]
十代の言葉に桜は首を傾げるが、ガールとクリボーは怒りに燃えていた
『とにかく行ってみるわ。2人は先に寮に行って』
桜は校舎へ向かおうとするが、誰かに手を掴まれる
振り返ると、手を握ったのは十代であった
『えっ?ど、どうしたの?///』
遊戯以外の異性と手を繋いだ経験がほとんどない桜は、少し赤面して十代を見る
「せっかくだからさ、後で校舎の中探検しようぜ?」
『探検?確かに、新しい場所はあちこち気になるから、いいかもね』
「んじゃ、PDAのアドレス交換しようぜ?」
PDAは生徒手帳でもあるが、カレンダーやミニデュエル機能、さらに自分の顔を映して送るメールもできるのだ
十代と桜は、お互いのアドレスを交換した
「んじゃ、後でメールするな」
『うん、分かった。じゃあ2人とも、また後でね!』
「あぁ!」
「行ってらっしゃい」
十代と翔と別れ、桜は校長室へと向かった