テニスの舞姫

□第2.5話
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―桜の家―



『ちょっと待っててね』


「ん」




一緒に帰っていた桜とリョーマ


途中、約束していたリョーマの入学祝いのケーキを取るため、桜の家に寄ったのだ


桜はリョーマにジュースを出すと、私服に着替えるために部屋に行った



リョーマside




「………」




リョーマはジュースを飲みながら、今日の出来事を思い出していた




“男子テニス部マネージャーの、月坂桜先輩ですよね!?”


“桜先輩は、青学のマドンナなんだぜ!”




堀尾の言っていた言葉が、頭を過る




「(姉さん…マネージャーやってるなんて、一言も言ってなかった…)」




姉さんは強い…


俺が一度も勝てたことないくらいに…


いつも楽しそうにプレイしていた…




(回想)数年前―



幼いリョーマと桜は、テニスの合間に休憩していた




『リョーマ!テニス、楽しい?』


「え?わからない」


『そう?じゃあ、テニスが好き?』


「う〜ん…」


『……リョーマにはまだ難しかったかな』


「そんなことない!ん〜っと…」




リョーマは腕を組み、幼い脳をフル回転させて考える



『リョーマ?』


「……俺、桜お姉ちゃんが好き!」


『え?』




リョーマの返答に、桜は目を丸くする




「だから、桜お姉ちゃんと一緒に、たくさんテニスしたい!」




リョーマは桜を見上げて言う


唖然としていた桜だが、やがてクスッと笑い、リョーマの頭を撫でる




『ありがとう、リョーマ。じゃあ、約束しようか?』


「やくそく?」


『うん。これからも、ずっと一緒にテニスをしていくっていう約束』




桜は小指をリョーマに見せる




「うん!」




リョーマも小指を絡め、2人で指切りをする




『約束、忘れないでね!』


「お姉ちゃんもね!」




2人の笑い声が、コートに響いた…



(回想)終了



「(そうだ…あの頃から俺は、姉さんのことが…)」














「好きだった…」


『何が?』


「っ!?」




顔を上げると、私服に着替えた姉さんが立っていた



リョーマside終了
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