小説3
□心伝わる
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某日、XANXUSは普段通り執務室にて書類の整理を行っていた。大体終え一段落つくと、自分の喉が渇いていることに気付く。昼食後からぶっ通しでしているのだから、それも当然だ。
(スクアーロ・・・)
不意にスクアーロを思い浮かべた。何か飲み物でも淹れてきて貰いたいが、今スクアーロは何処にいるか分からない。任務へ行ってしまい不在かも知れないし、自室で仮眠を取っているのかも知れない。だが間も無く大きな足音と共に部屋の扉が開いた。
「ボス、呼んだかぁ?」
扉から顔を覗かせたのは、思い浮かべたばかりのスクアーロだった。無意識の内に「来い」と連絡でもしたのかと思うほどのタイミングのよさに驚く。
「別に呼んで---いや、何か飲みもん持って来い」
「お゛ぉ、今ルッスが新しい紅茶だって言うから飲んでんだけどよぉ、すっげぇ美味しいんだぜ。持って来る」
スクアーロは扉を閉め紅茶を取りに戻った。直ぐにまた扉が開き両手にカップを1つずつ持ったスクアーロが入って来た。カップを1つデスクに置き、1つは自分が口に付けデスクに凭れ掛かった。
「ベノア、だったっけなぁ?上手いだろぉ」
「・・・あぁ」
XANXUSも1口含むと上品な香りが広がった。スクアーロは何も考えずに飲んでいるが、XANXUSには気になることがあった。それはというと、何故呼びもしていないのにスクアーロは来たのか、ということだ。そこまでスクアーロがXANXUSを駆使しているとは思えないし、以心伝心なんて馬鹿なことがあるわけでも無い。
「スクアーロ、俺はてめぇを呼んだか?」
XANXUSは単刀直入に問い掛けた。もしかしたら呼んでいた、なんて可能性もある。
「呼んでねぇけど、それがどうかしたかぁ?」
「どうかしたも何も、なら何故俺のとこへ来た」
「んー・・・?」
当たり前のように呼んでないと答えたスクアーロは考えるような素振りを見せた後、まごうことなき視線を向け口を開いた。
「単純は話。XANXUSが、俺を呼んだような気がしたから来ただけだぁ」
XANXUSは呆気に取られた。気がしただけで自分の元へ来て、本当に呼んでいたなんてことが有り得るものか。だがスクアーロは訂正をすることも無く平然とXANXUSの方を見ている。
「何かイラっときた。おい、一発殴らせろ」
XANXUSは握り拳を作り立ち上がった。スクアーロは咄嗟に後ずさりし部屋の隅まで逃げた。
「俺何も変なこと言ってねぇぞぉ!本当のことを言ったまでだぁ!」
「うるせぇ。命令だ」
「そんな命令があるかぁ!」
スクアーロはXANXUSを宥めるように続けた。イラついたのは確かだがXANXUSに本当に殴る気など無い。ただ、自分のことを知られていることに、何となくむしゃくしゃしただけ。
100613
突発ザンスク。ベノアはあの有名な本から。
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