小説4

□暗殺者の君へ
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「あら、スクちゃん。あの子からもプレゼントが届いてるわよ」



丁寧にラッピングされた小さめの箱を以外そうにスクアーロに渡した。ルッスーリアがあの子と呼ぶような人物からのプレゼントは既に貰っており、検討がつかない。あまり面識のない人からのプレゼントは断るスクアーロだが、誰からかきになり受け取った。
箱に挟まれているメッセージカードを見て、そういうことかと納得する。確かに以外で、貰えるとは到底思ってなかった人物からだ。



「同じボスでもあっちのボスはまめな奴だなぁ」

「そんなこと言ったらまた怒られるわよ」



プレゼントの贈り主は、今年正式にボンゴレ10代目に就任した沢田綱吉からだった。これまで贈られてくることはなかたのに、自分が10代目になってしまったから、という情けなのか。そう思わさせられるような、突然のプレゼント。
メッセージカードにはイタリア語で「誕生日おめでとう」「XANXUSと仲良くしてね」と書かれていた。



「うちのボスもいいけど、サプライズでプレゼントなんてボンゴレのボスもやるじゃない。素敵ね」

「お前こそそんな台詞ボスの前で言ってみろ。殺されっぞぉ」



本当にXANXUSがいないか辺りを見回し確認しながら、プレゼントの封を開けた。途端に甘い匂いが鼻を塞ぐ。
暗殺者として嗅覚の良いスクアーロは、1つ自分に贈られるには不似合いな物を予想させた。自分だけではなく、闇企業の人間にはに付かない物。



「---うわ、あいつこんなもん贈ってくんなよなぁ・・・」



スクアーロの予想は当たり、貰っても嬉しくない綱吉からのプレゼントをどう処理するか悩ませた。
箱から出てきたのはお洒落なデザインの香水だった。暗殺者は基本体臭を消さなければないらない。常識中の常識だ。
それともオフで使ってもらおうとでも思ったのだろうか。だがスクアーロが香水を好んでつけるような男にはどう見ても思えない。



「どういうつもりだぁ?」

「明らかに選択ミスね」



スクアーロは即座に携帯電話を取り出し、絶対この先掛けることはないと思いながらも登録していた綱吉に電話を掛ける。初電話が苦情になるとは思いもしなかったが、真面目に選んだ結果なのかくらい知る権利はある。



『もしもしスクアーロ?俺からのプレゼント届いたっ?』

「あぁ、ついさっき受け取った。早速だが聞かせてもらう。プレゼント自体はありがてぇけどよぉ、あれはてめぇが選んだのかぁ?」

『うん?そうだけど』



それがどうしたの?と付け足す綱吉の声に濁りはなく、自分の意思で贈られたと認識できる。
無意識に溜息が出る。ボンゴレ10代目が本乙にモラルも常識も備わっていない子供でいいのか疑いたくなる。



「温室育ちの裕福なお坊ちゃんに質問だぁ。暗殺者に匂い物はタブーだとどっかで習わなかったかぁ?」

「・・・あっ!・・・俺は温室育ちでも裕福でもないけど・・・ほんとごめん。うっかりしてた・・・」



一応知識としては頭にあったらしい。ぶつぶつ受話器越しに自虐を並べている。
呆れる話だ。プレゼントなんていくらでもあるのに、何故香水を選んだのか。



『でもさ、その香水。スクアーロにピッタリだと思うんだ』

「この香水がかぁ?冗談はよせ。俺はこの香水みたいに甘ったるい存在かぁ?」

『うん』



平然と答える綱吉にスクアーロは言葉を詰まらせる。自分に合うとは全く思えない上に、ディーノや山本が言っているのをはわけが違う。真面目な綱吉が言っているのが余計に可笑しく感じる。



『だってスクアーロっていつも大声出してさ、最初は怖い人って印象しかなかったけど・・・本当は凄く優しいだろ?それとXANXUSに向ける笑顔とか、俺は好きだな。じゃ、部下が呼んでるから切るなっ!香水は捨ててもいいから!』



さらっと告白されたかと思えばあっさりと電話は切られた。
甘い香水が似合う理由を説明されたが、自分ではいまいちわからない。だが、悪い気はしなかった。
スクアーロはルッスーリアにでもあげようかと思っていた香水を、自分の胸ポケットにしまった。



11.1.16
ツナさんはこっそりスクアーロに憧れてればいいと思いました


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