小説4
□クッキング!
1ページ/1ページ
最近ルカは料理にはまっていた。今迄全くしたことがなかたが、MEIKOに誘われて一緒に作り興味を持ったのだ。MEIKOはいつもお昼からも仕事がある人にはお弁当を作ってあげている。時には全員分作らなければならずとても大変なので、ルカがお手伝いをするようになり1ヶ月が過ぎた今日この頃だった。
「ルカ殿、本日も拙者の為に忝い」
がくぽは帰宅後、家事をしているルカに空の弁当箱を渡した。ルカはあくまでも初心者、全員分のは作れない。なので何を作っても美味しく食べてくれそうながくぽの分だけ作るようにしている。
予測通りにがくぽは何を作ろうが美味しいと言ってくれる。だが、がくぽはついに胸の内に隠していた感想を話すことにした。
「あの・・・大変申し難いのだが、これからのルカ殿の為にも1つ言わせていただくことを許してもらいたい」
「何よ、改まっちゃって」
がくぽはルカの鉄拳を喰らうことを予測しながら、もの凄い罵倒されることを想定しながら口を開けた。ルカは疑問符を浮かべるも、自分に意見するのは珍しいことなので素直に耳を傾けた。
「ルカ殿の作る料理・・・少し味が濃すぎなのでは?」
弁当をわざわざ作ってくれるのは、そりゃあもう涙が出るほどに喜ばしい。それに不味いというわけでは決してないし、食べれないほど濃いわけでもない。だが、どうしても味付けが濃いのだ。
最初は自分が薄味を好む傾向があるからかと思ったが人に味見をさせると、答えはがくぽと同じだった。
「勿論っ、ルカ殿の情が込められており美味なことは確かでござる!少し濃いめというところ以外には非の打ち所がないほどに!」
がくぽは自ら言い出したことに早速後悔していた。これからは2度と作らないなどと言われる可能性だって充分にある自分の肩身の狭さに情けなく思いながらもルカの返事を待った。
「そう・・・」
冷ややかで残念そうな声ががくぽの脳内でリピートされる。ルカは小さく溜息をついた。次に言われる言葉で自分の運命が決める。
がくぽは冷や汗を垂らしながら俯いた。どうか少しでも怒りのない言葉が来るように祈りながら。
「善処するわ」
「えっ・・・」
思わず驚きの声を漏らしてしまうようなルカの返事は、今迄聞いたことのない返事だった。がくぽの意見を聞かないようなルカが、寧ろわざと嫌がるようなことをするルカが、改めようとしている。
がくぽは嬉しさ余ってるかの手を取り握り締めた。
「ルカ殿、楽しみにしているでござる!ルカ殿なら素晴らしい料理の振る舞いがきっと、いや絶対に実現できる!」
「な、何よ。そんな驚かなくたっていいじゃない・・・あんたには美味しいものを食べて欲しいんだもの」
がくぽはルカの台詞で輝いている目が更に光を放つ。ルカは今確かに言った。がくぽに美味しいものを食べて欲しいと。ルカは微かにだがいつもちゃんと思っていたのだ。
がくぽのことを想って作った料理を、一生懸命作った側としては美味しさを提供したい。
「ほらっ、続き作るから手、離して」
ルカは握られている方の手を振り離れようとする。だががくぽは、自惚れてしまうほどのルカからの感情に、何か自分の返したかった。
そう思ったがくぽは瞬時に突き飛ばされるかも知れないが、ぎゅうぅとルカの体を抱き寄せた。
「ルカ殿・・・!」
「ちょっ、もう何なの?いきなり・・・」
珍しいことにルカは拒まずそう言うだけで、あとは静かに目を瞑るだけだった。
101205
たまに見せる素直さが痛いほどに可愛いぽルカでした。ルカが可愛すぎて生きるのが辛い。