小説4

□明るみ
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何だか最近、馬鹿みたいに仕事漬けだった。いつもと比にならないくらいの依頼が来て、それにどれもがランクの高いハイレベルな任務。なのにベルとマーモンは長期任務中で人手足らず。スクアーロの体が限界に近付くのもそう遠くはなかった。



「っだあぁぁぁぁぁ!!」



鼓膜が破れそうなほどの大声で叫んだのは案の定スクアーロだった。スクアーロは今、XANXUSの1人はできないから、という理由で書類仕事をさせられている。
だが細かく地味な仕事が心底苦手な好くアーロが、やってもやっても終わらない仕事に耐えられる筈もなく、書類をばらまいた。



「こんなことやってられっかぁ!!」



普段スクアーロは暗殺以外の仕事はしない。というよりも、知識が足らずできないのだ。
それなのに昼の開いてる時間にXANXUSが無理矢理働かせようとするものだから、スクアーロの怒りが堪るのは必然的だ。
そんな叫びにも動じず黙々とペンを進めていっているXANXUSに、スクアーロは問い掛けた。



「こんなことばっかりやってて辛くねぇのかぁ?そりゃ、毎日やってるから慣れてるかも知れねぇけどよぉ、俺はもう無理だ・・・。ちょっと外に気晴らしにでも」

「行くぞ」



やはりXANXUSも相当疲れていたようで、スクアーロが言い終わる前に席を立つ。休養を摂るのも仕事の1つだ。
スクアーロは上着を羽織り、XANXUSと肩を並べてアジトから出た。



---とはいっても、アジトの外は薄暗い森。ここから出るにはかなりの距離、30分程度歩かなければ森から出れない。戦闘以外で動くことが嫌いなXANXUSが30分も歩けるのかと不安になるが、そんな心配は要らなかった。珍しく何も言わずに歩いている。



「偶にはこう、何も考えずにぼーっと歩くのもいいよなぁ」



返事は帰ってこないが肯定してくれてると思えた。薄暗い森を歩いているだけなのに、この心地良さは何故だろう。心が晴れていくようにも感じる。
しばらくすると、森が終わり日が差している何もない小さな公園に着く。冬の寒さのせいか人は誰一人としていない。



「どうせ行くとこもねぇし座ろうぜぇ、ボス」



スクアーロはぽつんと置かれてあるベンチを指差し露骨に嫌そうな顔をしているXANXUSを促した。途中自動販売機でどうせ嫌がるだろう缶コーヒーを買うのも忘れずに。



「あったけぇのと冷てぇの、どっちがいい?」

「ホット」

「ん、」



温かい方のコーヒーを差し出し、XANXUSの隣に腰を降ろす。冷たいコーヒーを飲みながら握ったままで飲もうとしないXANXUSの肩に頭を乗せた。



「昼間に出歩くなんて久しぶりだけど、やっぱり太陽に当たるのもいいもんだよなぁ・・・」



暗闇を選んだのは自分だ。今更日の浴びれる場所に行きたいとは思わないが、あちらの世界に居心地の良さでは叶わないだろう。そんなことを不意に感じだスクアーロに、XANXUSは試すような台詞を言う。



「主を殺せば、お前はいつだって陽のある所へ行けるぞ」

「・・・馬鹿言うなよなぁ。俺がXANXUS無しで生きていけるわけねぇだろぉ」



暗闇の中でも生きていける理由は、闇よりも黒に染まったお前がいるからだぁ。



101216
お題12こ目はなんかよくある感じのザンスクでした。
この話自体は結構昔に書いたもので、お題に合うじゃん!ってことで引っ張り出してきたものでお恥ずかしい・・・。

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