小説4

□統一された2つの欲
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去年は冬に備えてコートとブーツをあげた。その前の年は耳飾りをあげた。更に前の年は希少価値の高い肉をあげた。その前もまたその前も何かしら最高級のものをあげたが、1度だって興味を示してくれることはなかった。
別にプレゼントしたものを使ってもらいたいうとは思っていない。ただ、XANXUSは愛されて生まれてきたということを教えてあげたかった。



「なぁルッス、今年は何やればいいと思う?」

「ボスへのプレゼント?」

「あぁ」



何をあげればいいのか思いつかず、ルッスーリアに相談した。今迄で思いつくものは全てプレゼント済み。
ルッスーリアなら何かいいものを提案してくれるかと期待するが、XANXUSの喜びそうなものなど、そう簡単に出てこない。それにこれまでに何をあげても喜ばなかったという過去が尚更2人を悩ませる。



「スクちゃんは何をあげたいの?」

「俺かぁ?」



ルッスーリアは視点を一旦変えて質問した。0から考える余地もスクアーロの意思から考えた方がいい。スクアーロは腕を組んで頭を回転させるが、中々ピンとくる答えはない。



「わっかんねぇなぁ」

「じゃあスクちゃんの欲しいものは?恋人の欲しいものは自分の欲しいもの---ってよく言うじゃない」

「欲しいもの?つーか大体俺らは恋人なんて甘ったるいもんじゃねぇ!」



スクアーロは怒鳴りながら自分の欲しいと思っているものを頭に並べる。だが、誰だって1つや2つある欲しいものがスクアーロは1つもなかった。いつまでも空白のまま。
スクアーロの望むことはただ1つ、XANXUSの下で動き続けることだ。それ以外には何もない。



「何もねぇ。俺はボスがいるだけで満足だし、特にこれといって欲しいもんなんてねぇ。そりゃあボスからの愛・・・とかだったら欲しいけどなぁ」

「それでいいじゃないっ」



スクアーロからしたらちゃんとした答えになっていない台詞にルッスーリアは食いついた。スクアーロがXANXUSの愛を欲しいのであれば、スクアーロがXANXUSへ愛を送ればいい。
今迄XANXUSが喜ばなかったのは単純に嬉しくなかったからだ。いくらスクアーロが愛を込めようが、所詮者に頼っているという思い込みがあったのだ。



「ボスだって、スクちゃんの愛が欲しいを思ってる筈よっ。祝いの気持ちを物で伝えようとするから駄目だったのよ」

「そうかぁ・・・そうだよなぁ・・・!よし、何かわかった気がする。早速ボスん所行ってくるぜぇ!サンキュッ、ルッス!」



スクアーロは何か掴んだように小さくガッツポーズをし、そのままXANXUSがいる庶務室へと向かった。1つ大きな深呼吸をして、ノックすることも忘れて扉を開ける。
開けた途端入ってきたXANXUSの怪訝そうな顔に、しまったと後悔するが後戻りは出来ない。



「ノックもせずに入って来るなと前から言ってるだろ。いつになったら守るんだ」



XANXUSから溜息混じりに注意をされるが、スクアーロは一切聞く耳を持たず足を乗せているデスクの方へ行き、無言で自分の胸へと抱き寄せた。普段勤務中にスクアーロから甘えることなど殆どなく、XANXUSの頭の中では疑問符が飛び交う。



「いきなり何だ。何か企んでんのか?」

「何も企んでなんかいねぇ。今日はお前にとって特別な日だろぉ?」



すぐに誕生日のことだと察しがついた。毎年贈られるスクアーロからのどうでもいいプレゼントが、今年も来るのかと思うと自然と嫌気が差した。だが今年はXANXUSの予想とは違い、祝いのものは用意していない。
スクアーロはXANXUSの頬から耳までの部分に自分の手を当て、目と目が嫌でも合わさるような体勢をとった。



「XANXUS,Buon Compleanno・・・」



ありったけの愛と祝福を込め、軽く唇を重ねさせた。勤務中はこういったことを控えようとするスクアーロにしては珍しい行為に、XANXUSは少しだけ驚く。



「毎年くだらねぇもんばっかり贈ってすまねぇ。だから今年からはお前が欲しいと思うもんをやることにした」



いきなり謝りだすスクアーロの台詞はよくわからないものだった。結局何が言いたかったのか理解出来ず眉を顰めると、スクアーロは焦りながら言葉を選んで説明しようとした。



「だからぁっ、今迄あげてきたもんは全部、XANXUSが欲しいと思ってるもんだった。けど、違ぇんだろぉ?」

「まぁ、そうだな」

「そういうことだ。いま欲しいもんとか、して欲しいこととか言ってみろ。何でも叶えてやる」



XANXUSはスクアーロに望むことを頭に羅列してみる。今すぐコーヒー持って来い、肩を揉め、代わりに仕事をしろ。スクアーロと違い色々出てくるが、最終的にいちばん大きく望んでいるのはスクアーロと同じで、スクアーロからの愛が欲しいだった。
だがそんなこと口が滑っても直接本人に言えないXANXUSは、スクアーロの頭を自分の方へと引き寄せ、前フリなしに舌を入れた。



「ん・・・っ、ボス・・・?」



いきなり舌を入れられ戸惑うが、XANXUSに合わせて過敏に動かした。息苦しくなりながらも夢中で続けるが、途中歯を思いっきりぶつけてしまい、スクアーロは反動で口を離した。



「痛・・・っ!」

「おいカス、何でもするんだろ?しゃぶれ」

「え、う゛お゛ぉいっ、ちょっと待てぇ!」



XANXUSはキスの余韻に浸っている間もなくズボンのチャックを降ろし、スクアーロの髪を引っ張り自分の陰茎の方まで近づけさせた。
キスだけで少しムラッときたXANXUSは、このまま仕事に戻るのも難だったので、何でも叶えると言ったスクアーロを都合よく使うことにしたのだ。



「これも祝いの1つだ。早くしろ」

「するけどよぉ、ムードねぇなぁ・・・」

「今更何がムードだ」



スクアーロは呆れながらも体を屈ませた。
最高に素敵な誕生日の始まりだ!





101010
ボスおめでと!
今年は本誌の展開でも色々ありましたが(未来から記憶を授かったり何故かスクアーロが継承式に行ってしまったりetc)、ボスは全部乗り越えて頂点に立ってみんなを平伏せさせてやってください。
そして今年はXが3つなんでザンザックスな気がしてしかたないです。

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