小説1

□陽
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朝、差し込む光と共に目を覚ますと必ず白銀の髪が目に映る。それはクーデターを起こす以前の過去も、リング線前後の時も、それから10年が流れた今もでも変わることの無いこと。必ずしもスクアーロがいて、時には幸せそうな寝息をたて、時には気難しそうな顔をして寝ている。どんな表情をしていようが見ると安心出来る。本人には言えるわけが無いが、幸せを感じる一時でもある。

「ん・・・。XANXUS、もう起きてたのかぁ・・・?」

少し見ているとスクアーロは瞼を擦りながら体を起こした。大きな欠伸を1つして、ベッドの下からスウェットを拾い上げ履いた。昨晩ヤった時に落としそのままだったのだろう。スクアーロは簡易台所へ行き紅茶を沸かそうとしている。

「俺の分も淹れろ」

「わかってんぞぉ」

数分経ち揃いのマグカップに紅茶を注ぎベッドへ運んだ。そういえばわざわざ思い出すことでも無いが、布団の上に溢して殴ったこともあった。XANXUSは紅茶を受け取り口を付けた。スクアーロは再度ベッドに入りXANXUSの肩に凭れ掛かった。

「ん、ちょっと薄かったかぁ・・・?」

「薄い。何年紅茶淹れてきてると思ってんだ」

「さ、さあなぁ・・・?少しくらい失敗する時くらいある。許せぇ」

痴話喧嘩をして一緒に寝なかったり、長期任務の日を除けば、満10年くらいは朝スクアーロはこうやって紅茶を淹れている。相当な年月だ。だが時折失敗する紅茶の下手さは変わらない。

「おいカス、もう1回作り直せ。今日のは格段にクソ不味い」

「お前の舌が肥えすぎなだけだぁ。飲めないことは無ぇ」

「あぁ?俺が作り直せと言ってんだから、素直に作り直せ」

XANXUSはスクアーロの意見は総無視しマグカップを台所の方へ投げ飛ばした。壁に勢いよく当たり粉々に砕け散っている。

「う゛お・・・。あれ割りと高かったんだぞぉ・・・!」

「っるせぇ。さっさと片付けろ」

スクアーロはまたベッドから出て紅茶の支度を始めた。破片を踏まないように気をつけて片付けながら。このような光景も初めてでは無く、下手すれば100回を越えていても可笑しくない。

「おら、作り直してやったぞぉ。今度のは上手い」

「もっと早くしろ。遅い」

XANXUSは嫌味を言いながら1口啜った。文句言わずに飲み干したことから美味しかったと踏んでもいいだろう。

「悪くは無ぇ」

「XANXUSこそ素直に上手いって言えよなぁ」

スクアーロも淹れ直した紅茶を飲み、流し台へカップを置いた。それと同時にスクアーロの腹が空腹で鳴った。そろそろお腹が減ってくる頃だ。

「なぁ、そろそろ朝飯食いに行こうぜぇ。ルッスが待ってんだろ」

「そうするか」

XANXUSはシャツを羽織ながら2人で肩を並べながら部屋を出た。また今日も、新しい1日が始まる。



100612

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