小説1

□雨模様
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先日、ルッスーリアに天気を訊くと晴れだと言っていた筈なのに、外は薄暗く悪天候。耳障りな雨音が神経に障り自然と苛々が募る。解消する為隣で平然とテレビを観ているスクアーロを無意識に殴ってみたが特に治まらない。逆にスクアーロの轟音で返って喧しくなった。

「いきなり殴んなぁ!いってぇなぁ・・・」

スクアーロは何故殴られたかも知らず頭を擦っている。XANXUSは謝ることなどせずスクアーロが観ているテレビに視線を移した。くだらない娯楽番組だ。XANXUSはテレビの電源を切りリモコンを投げ捨てた。

「何勝手に消してんだぁ!俺今観てたんだぞぉ!」

「うっせぇ、こんなもん観る暇あんだったら雨やませろ。じめじめされんのは嫌いだ」

「無茶言うなぁ!」

スクアーロはテレビを観ることを渋々諦め談話室の窓を開け、雨が降り注がれているバルコニーへ出た。XANXUSはスクアーロの不可解な行動に疑問符を浮かべ、自身も窓辺へ歩み寄った。

「カス、何やってんだ」

「XANXUS、お前も来いよ。雨浴びんのって結構気持ちいいんだぜ?」

スクアーロは雨を肌に浸透させながらクルクル回っている。XANXUSが冷めた目付きで見ているのに、スクアーロは何処か楽しそうで雨に話し掛けている様だった。

「いい加減入らねぇと風邪引くぞ」

「俺みてぇな馬鹿が風邪なんて引かねぇ。それよりほら、XANXUSも来いって!」

スクアーロはXANXUSの手を一方的に引きバルコニーの中へ入れた。大雨には満たないがそこそこの量の雨が体全体に滴る。望んで雨に打たれに来たわけでは無いのだから、勿論XANXUSには怒りという感情が湧き出てくる。

「な?気持ちいいだろぉ!?」

だが無神経に雨を被りながらXANXUSに同意を求めるスクアーロには、怒りを通り越して呆れの溜息の方が勝る。XANXUSは段々肌寒くなってきたので部屋を出ようとした。

「う゛お゛ぉいXANXUS!何処行くんだぁ?」

「部屋に戻る。俺にはカス鮫と違って寒いって感性があんだ」

XANXUSは部屋に入りタオルで身体を拭き遠目でスクアーロを見た。スクアーロは1人でも雨に打たれ続けているが、くしゃみを何発かしている。今は初夏とはいえ梅雨の季節だ。雨が降っているのだからかなり体温は冷え込むだろう。XANXUSは新しいタオルを持って来て窓辺からスクアーロに向け投げた。

「お前だって寒ぃんじゃねぇのか」

これもXANXUSなりの優しさだ。スクアーロは歯を見せ笑いながら顔を拭いた。

「ありがとよぉXANXUS!」

スクアーロは雨に濡れいつもの数倍の輝きを放っている長髪を揺らしながら、XANXUSの隣へ戻った。



100606
イタリアにも梅雨ってあるんですかいな。

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