ミラトレ3
□寒さをやわらげる
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ー寒さをやわらげるー
都庁と汐留のふたりは、駅のそとでほかのメンバーが帰ってくるのを待っていた。今日は両国のところからお客様が来た。彼女につきそうため両国と月島が、サポートをするため六本木と新宿が出かけたのだ。
ふたりはなにがあっても対処できるように駅で待つことにした。
都庁はマフラーを巻き、温かそうだったが、汐留は防寒具をなにもつけておらず寒々しい。カタカタと震えて身体が縮こまっている。
「はっくしゅっ……うーっ寒い」
「大丈夫か、汐留」
「寒いよ都庁さん。ミラクルトレインに戻りたい」
少しでも温かくなろうと、汐留は手を擦り合わせる。はあ、はあと息をかけるもいっこうに寒いままだ。
見兼ねた都庁が自分のマフラーを外し、汐留の首に巻いてやった。
「都庁さん」
「風邪をひくと困るからな。ないよりはましだろう」
両国たちはもう少しで戻ってくるから、と汐留に優しく声をかける。
「でも都庁さんが風邪を、」
「私は大丈夫だ。予防はしているからな」
「でも……」
心配するな、と都庁は言う。どうしても悪いと思った汐留は、巻かれたマフラーをほどき、都庁にかける。
「汐留、私のことは気にしなくていい」
「ううん。都庁さんが風邪ひいたら困るよ。だから、ふたりでしよう」
しゃがんで、と言われ、都庁は腰をおろす。汐留も腰をおろして、ふたりで寒いと声をあげた。地面はとても冷たかった。
「うー……都庁さん、片方ちょうだい」
「ああ、」
くる、とひとまきする。長さはあまりないので、ふたりはピタリとくっついて寒さをしのぐ。
「さっきより暖かい」
「ん、そうだな」
「都庁さん、マフラーありがとう」
にこっと笑う汐留に、都庁もつられて笑顔になる。大丈夫だと答えて、みんなを待った。
ふたりの寄り添う姿を見て嫉妬した六本木たちに、もうこんなことがないようにと、汐留にマフラーが送られたのはまた別の話。
End.
2011.12.10