ミラトレ3

□寒さをやわらげる
1ページ/1ページ



ー寒さをやわらげるー


都庁と汐留のふたりは、駅のそとでほかのメンバーが帰ってくるのを待っていた。今日は両国のところからお客様が来た。彼女につきそうため両国と月島が、サポートをするため六本木と新宿が出かけたのだ。
ふたりはなにがあっても対処できるように駅で待つことにした。

都庁はマフラーを巻き、温かそうだったが、汐留は防寒具をなにもつけておらず寒々しい。カタカタと震えて身体が縮こまっている。


「はっくしゅっ……うーっ寒い」

「大丈夫か、汐留」

「寒いよ都庁さん。ミラクルトレインに戻りたい」


少しでも温かくなろうと、汐留は手を擦り合わせる。はあ、はあと息をかけるもいっこうに寒いままだ。
見兼ねた都庁が自分のマフラーを外し、汐留の首に巻いてやった。


「都庁さん」

「風邪をひくと困るからな。ないよりはましだろう」


両国たちはもう少しで戻ってくるから、と汐留に優しく声をかける。


「でも都庁さんが風邪を、」

「私は大丈夫だ。予防はしているからな」

「でも……」


心配するな、と都庁は言う。どうしても悪いと思った汐留は、巻かれたマフラーをほどき、都庁にかける。


「汐留、私のことは気にしなくていい」

「ううん。都庁さんが風邪ひいたら困るよ。だから、ふたりでしよう」


しゃがんで、と言われ、都庁は腰をおろす。汐留も腰をおろして、ふたりで寒いと声をあげた。地面はとても冷たかった。


「うー……都庁さん、片方ちょうだい」

「ああ、」


くる、とひとまきする。長さはあまりないので、ふたりはピタリとくっついて寒さをしのぐ。


「さっきより暖かい」

「ん、そうだな」

「都庁さん、マフラーありがとう」


にこっと笑う汐留に、都庁もつられて笑顔になる。大丈夫だと答えて、みんなを待った。



ふたりの寄り添う姿を見て嫉妬した六本木たちに、もうこんなことがないようにと、汐留にマフラーが送られたのはまた別の話。



End.
2011.12.10

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ