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□シンデレラ
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王子様。



あなたは私の想像以上に素敵でした。


今夜の舞踏会はお妃様を選ぶための舞踏会でしたのね。


素敵なご令嬢がたくさん。

もちろん中にはお金や女王という地位が目当てで王子様に寄り付く方もいらっしゃいますわね。


でも。





間違いなくあなたに恋をしているご令嬢もたくさんいるのですよ。


ほら。

先ほどお話していたお嬢さんなんか、顔が真っ赤。



他の方もソワソワして見ているのですよ。







それなのに。






あなたは私と踊ってくださった。



素敵なお嬢さんがたくさんいらっしゃるのに。



頭の良さそうな方、宝石のように美しい方、とても清楚なお嬢様。






それなのに私と踊ってくださった。


シンデレラ
灰かぶり の私と。


なんて幸せなの…?




王子様、どうかもう離さないで。


私だけを見て。



お願いですから。






思いもむなしく、鐘の音は鳴り響く。



私の魔法はもう溶けてしまう。




夢の時間のおわり。



      シンデレラ
私はまた、 灰かぶり に戻るの。




とても退屈で、なんの楽しみもない、毎日。







そんな生活に戻るのなんて嫌…。






だから。










だから、どうかお願い。




私の願いを…。



望みを…。







最後のチャンスに託すから。





ガラスの靴を





拾ってください。








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