M.S.N @ミルステ

□罠の星
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月は気づかれないように行動するも、ルルーシュは気配を感じたのか、後ろを振り向いた。

月は人混みに紛れて、街の住人の振りをする。

月(あらかじめ、服屋でこの街の住人と同じ服を盗んで、着ていたのは正解だったな……。おかげで気づかれずに済んだ)

ルルーシュは一旦近くの店の中に入っていった。月はルルーシュの姿を捜すが、見事に見失ってしまった。

月(しまった。見失った・・・)

ルル『誰かに、見られていたか?・・・この街で黒スーツにマントは目立ちすぎるか・・・』

ルル『あの…』

住民『はい?』


ルルは左目のコンタクトレンズを外した。目にはギアスのマークが刻まれていた。

ルル『街の探索をして、死にたる者を発見し次第…・・・』



その頃、月は街をさ迷っていた。

月(あいつは、一体どこに隠れた?あんな格好だ。易々と姿を現す筈はない)

しかし、よく考えるとあいつは服装が派手なだけで、死にたる者ではないかもしれない。他の街から来た人物という可能性もあるのだ。

考えれば、考える程、どつぼにはまる。○○かも知れない、でももし××であったとしたら・・・。

人とは、不思議な生き物で、物事を考える知能を持っている。

死にたくないから、逃げる。
勝てそうだから、戦う。
悲しいから、泣く。
嬉しいから笑う。


これらの感情は、動物なら皆持っていることだ。しかし、人は感情とは別に、より複雑な考えを持つことができる。

特に夜神月という男は、常人よりも高い知能と思考能力を持っていた。だが、今はその高い能力がまるで生かされていない。

人間は生きるか死ぬかの瀬戸際になると、混乱して正常な判断ができない時があるのだ。

月(僕が死んでたまるか。もう一度現実世界に戻って、ニアを殺して新世界の新創世を見せてやるよ。)

月はお店にあったナイフを盗んで、街で一番高い建物の屋上へ上がった。ここなら監視や尾行などから逃れられると考えたからだ。


月(なんとしても生きなくては。)

カツカツ…
と階段を上る音が近づいて来た。

月(馬鹿な!?尾行されていた?!いや、違うっ、ありえない!!)

徐々に音が大きくなり……。

ガチャッ…

ドアノブを回す音まで聞こえてきた。月は、最終手段としてのナイフを手に持って構えた。

ドアの開く音が聞こえた。月は、ドアの隣の壁に張り付いたまま片手で胸を押さえていた。
月(・・・一体、どぉすれば…)

その時、誰かの声がドアの向こうから聞こえた。


??『ぐあぁっ!!』

ドサッ

嫌な声が聞こえた。
月は何が起こったのかさっぱり分からなく、ただナイフを握り締めていた。

月は何も音がしなくなった事を確認して、扉に近づこうとした、が全く動けない。

月(あ、足が、震えてる・・・)

四つん這いになりながらも、扉のある方へ向かった。扉を開けるとそこには、一人の男が扉の前で、血を流しながら倒れていた。

ガルマ・ザビ『我は、ジオンに栄光を・・・、ぐぐっ…。ジ、ジオン軍万歳っ!!』

彼はそう言い残すと光に包まれ消えていった。






その頃、ルルーシュはジュエリーという名の喫茶店でコーヒーを飲んでいた。

ルル『ん?早いお帰りだね』

住民『尾行していたと思われる、死にたる者の人物を殺害しました』

ルル『ご苦労』

住民『・・・・・・はっ、私は一体…。』


ルル(やはり、尾行されていた。他人にギアスをかけて正解だった。次からも気をつけねば…)





その頃、月は屋上で男の死体を眺めていた。
男は明らかに「死にたる者」だと分かるような、ルルーシュよりも派手な服を着ていた。

多分、背後から刺されたのだろう。背中にナイフで一突き。他に足や腕にも数ヵ所切り傷があり、おまけに脈まで完全に切られていた。

そして、血の跡が階段下まで点々と続いていた。
人形の糸が切れたかのように、月は一瞬力が抜けた。


確実に、殺した犯人に出会っていたら死んでいた。

普通の人ならば恐怖のあまり、『やはり極力ここにいた方がいいだろう』という意思が強まるだろう。だが、彼『夜神月』は違った。


さっきまでは弱腰だったものの、恐怖が一度去ったことで、いつもの「日本一真面目な優等生」としての冷静さを取り戻していた。

これほど強い奴なら、場合によってはうまく利用できるかもしれない。月は男を殺した犯人を、探し始めた。





そして、血の跡をたどってある店に着いた。店の名は


『喫茶店ジュエリー』。



月「ここは…喫茶店?」
(確かに隠れやすい所だ…昔の頃を思い出す…)

月はなるべく目立たない所に身を潜めた。

月(何か対策を・・・いや、あいつを見つけるが先か…?)

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