四天生活

□財前光のとある休日
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休日、謙也君に呼び出された。面倒やからシカトしようかと思ったけど、そうすると後がもっと面倒なんで、謙也君の家に行くことにした。


家の前に着いて謙也君のケータイにかけると、二階の窓が開いて


「入ってええで!」


家の人とかおったら気まずいんすけどと思いながら、言われたとおり勝手に入った。

階段を昇って謙也君の部屋に入ると、謙也君はテレビの下の棚に頭と手を突っ込んで、何かを探していた。


「お邪魔します。」


謙也君は一度だけ俺を見て


「その辺テキトーに座ってくれ。」


また捜し物を始めた。


「何してるんすか?」

「いやな、コントローラーが…」


その直後、部屋のドアが開いて


「お、財前やん。」


ユウジさんが入って来た。


「こんちわ。」

「おお、お前も参加するん?」

「参加…?何にですか?」

「何にて、リンドバーグ再結成のお祝いやろ。」

「初めて聞きましたわ。」


もし今日呼び出された理由がそれだとしたら、今すぐ帰りたい。


「あったで!お、ユウジ来とったんか。」

「今来たトコや。で、さっそく始めるか?」


この人らは一体何し出すんやろ、ほんまにリンドバーグ再結成を祝う気か?


「まだ白石来てへんし、もうちょい待と。」


白石部長も来ると聞いて一瞬安心したけど、これから何をするのかよう分からんし、あの人もあの人でたまに頭オカシイんちゃうかと思う時あるから、不安は拭いきれない。

来たことを後悔し始めたから


「これから何するんすか?」


謙也君に聞くと


「何て、そんなもんウイイレに決まっとるやろ。」

「え、リンドバーグ再結成祝いちゃうの?俺そのつもりで“今すぐキスミー”めっちゃ練習してきたんやけど。」

「アホや(笑)」


どうやらユウジさんの冗談だったようで、とりあえずは安心した。ていうか呆れた。


その後謙也くんが飲み物を持ってきて、いつも通りの下らない会話が始まった。俺は部屋にあった雑誌を読みながら、それを半分聞いてるっていう、いつものパターン。


「俺な、こないだひっさびさに三国無双やってん。」

「あー、アレ久しぶりにやるとおもろいよな。ほんでお前よく張角の真似しとったもんなぁ。」

「おおっ…我が魂、天へと昇らん…」

「ぶはっ!(笑)やばい似とる!で、無双いくつや。」

「2や2。」

「2って呂布が恐ろしく強い時やん。下手したら一撃で死ぬやろ。ほんでめっちゃ追いかけてきよるしな。」

「どけぇぇぇい!」

「似とる!(爆笑)あかん、ここに呂布がおるわ!」


確かに似とるけど、何で先輩らこんなアホなんやろと、いつも客観的な目で見てしまう。


「でな、全部やり直して武将を一から育ててん。こないだ何人かの4つ目の武器とレアアイテム全部取ったところや。」

「結構やり込んでるなぁ。」

「夢中になってもうてん。あ、いうても小春には勝てへんで?」


ユウジさん普通にしてたら結構イケてると思うのに、やっぱキモイ。


「あー、なんか俺も無双したくなってきたわ。」

「やったらええやん。財前、お前もやるか?」


雑誌から目を離さず


「ええですわ。」


それだけ答えた。


「つれへんなぁ。ユウジ、お前の背中の押入にゲームソフト入った箱あんねん。悪いけど取ってくれ。俺本体繋いどくから。」

「ほんまに開けてええんか〜?見られたらマズイもんでも入ってるんちゃいます〜?」

「アホ言えそんなん無いわ!」

「そうでっか〜ほな開けるで〜」


カチャッと収納が開く音がした後



「うおっ!!」



ユウジさんがめっちゃでかい声出して、思わず俺もびくってなった。




 
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