ショートショート

□ナンバー9
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ぐいっと煽ったお酒は、缶にほんの少ししか残っていなかった。もの足りなくなってまた新しい缶に手を伸ばす。

途中からグラスに注ぐことさえ億劫になって、自分の周りに散らばる空き缶さえどうでもよくなった。

「…お酒飲んでも、いいことなんてないよ、」

すっきりするわけでもなく、何かを解決してくれるわけでもなく。体内に取り込まれたアルコールは、ただただ自分を感傷的にして、喉を涸らし、視界を滲ませた。

辛い、辛い、辛い。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。

滲んだ視界はどんどん霞んで、9本目の缶を空け終わる前に意識は薄れた。



ナンバー9






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